日本を動かす官僚の街・霞が関から“マル秘”情報をお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「霞が関コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。
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“マフィア”の系譜
トランプ関税を前に難局が続く石破茂政権。参院選に向け、6月中旬に予定される日米首脳会談で成果を挙げたいところだ。
対米交渉の矢面に立つのは、国家安全保障局(NSS)の岡野正敬局長(昭和62年、外務省)である。今年1月に外務次官から転じたばかりだが、5月に衝撃が走った。マイケル・ウォルツ国家安全保障担当大統領補佐官(NSA)が解任されたのだ。
「カウンターパートの岡野氏は、就任前から訪米。『ウォルツ氏は話せる』と評価していた」(省関係者)
さらに、今夏の人事異動でも動きがある模様だ。NSSナンバー3の室田幸靖内閣審議官(平成6年、同)が米ロサンゼルス総領事に転出するとみられる。外交・安保政策の第一線からいったん離れる格好だ。
本省では総合外交政策局安全保障政策課長などの要職を務め、山田重夫駐米大使(昭和61年、同)が同局局長を務めた時代は同局総務課長として支えた。2021年7月に秋葉剛男元外務次官(57年、同)がNSS局長に就任すると、同年10月にNSS審議官に就任した。この頃から、「外務官僚離れした能吏」と他省庁からも一目置かれるようになり、岸田文雄政権下では、防衛力強化を巡る議論で、財源確保や防衛三文書改定など、一連のシナリオを描いた。こうした経緯もあり、秋葉氏が室田氏を高く評価し、重用していたことは省内外でつとに知られる。
外務省には秋葉氏を筆頭とする「外交・安保政策マフィア」と呼ぶべき系譜がある。
〈この続きでは、室田氏の転出が国家安全保障局にもたらす影響を分析しています〉
※本記事の全文(約5700文字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年7月号に掲載されています(霞が関コンフィデンシャル)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。
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■連載「霞が関コンフィデンシャル」
【2025年】
1月号 「壁」を巡る同期の攻防、「岸田議連」の火種、元首相秘書官に“赤紙”、1年延期の新次官
2月号 野党対策の黒子たち、官邸に漂う閉塞感、総務官邸官僚の実力、次期警察人事の行方
3月号 経産省が込める“実弾”、新次官と首相の距離、財務相を支える女性たち、インサイダーの“余波”
4月号 財務省の“切り札”、森山印の次官レース、日米会談の余波、燃え盛る厚労省
5月号 試される牛若丸、パワハラ騒動の余波、多士済々の5年組、プロパー会長の行方
6月号 新川次官続投のけじめ、「赤澤訪米」の余波、イケメンの“天の声”、NHKの“品質保証”
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