野党対策の黒子たち、官邸に漂う閉塞感、総務官邸官僚の実力、次期警察人事の行方

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★野党対策の黒子たち

 少数与党の石破茂政権にとって、最大の難関は2025年度予算の成立である。この苦境に財務省は、昨年末の予算編成で“離れ業”に挑んでいた。「103万円の壁」を打破し、178万円まで引き上げる大型減税を主張した国民民主党を引き付けつつ、日本維新の会にも触手を伸ばしたのだ。

 国民民主との交渉を引っ張ったのは主税局である。旧大蔵省出身の玉木雄一郎代表(平成5年入省)と同期の植松利夫審議官を中心に、所得税がかからない年収の上限を123万円とする対抗案をまとめ、自民党税制調査会に振り付けた。

 一方で、維新と水面下で折衝を続けたのが主計局である。ターゲットにしたのは前原誠司共同代表だ。久しぶりに表舞台に出てきた前原氏に対し、宇波弘貴主計局長(元年、旧大蔵省)、前田努次長(4年、同)らが秋波を送った。

 前原氏が掲げる公約は、高校授業料と小中学校の給食費の無償化だ。高校授業料は6000億円、給食費は4500億円の予算が必要となる。だが、国民民主が求める「178万円」に7兆円かかるのに比べれば、財政への負担は遥かに小さい。

 前田氏と植松氏はともに栄光学園の出身で、連携が取れている。後輩官僚は「2人とも政策を詰める緻密さが持ち味。少々頭が切れすぎるところも似ている」と冗談交じりに語る。同校出身の官僚を束ねていたのは、安倍晋三政権で勇名を馳せた和泉洋人元首相補佐官(昭和51年、旧建設省)だ。15年ほど前、和泉氏の異能ぶりに目をつけ、最初に官邸に引っ張ったのは、民主党政権で国土交通相や国家戦略相を務めた前原氏だった。

 文書課長や文部科学予算を担当する主計局次長を経験した前田氏は、和泉氏や前原氏と面識があり、前原氏の教育無償化にかける思いも分かっている。SNSに表れる若い世代の支持を頼りに、強気一辺倒の交渉を続ける玉木氏を横目に、前原氏は「教育無償化での政府の対応を見極めたい」と漏らすようになり、政府・自民党の野党対策は重心を維新に移した。

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source : 文藝春秋 2025年2月号

genre : ニュース 政治