『世界のエリートが学んでいる 教養書必読100冊を1冊にまとめてみた』(永井孝尚 著)KADOKAWA

 マーケティング戦略コンサルタントの著者は、問題の本質を構造的に捉えるために必要なのが「教養」と位置づける。本書は、その教養を身につけるために読むべきさまざまな学問分野の古今の名著を、ビジネスの現場を長年渡り歩いてきた著者ならではの視点で紹介している。

「ただ要約を並べて名著の成果にフリーライドするような、いわゆる『ファスト教養』の本ではなく、これまで教養に触れてこなかった人を、より深い学びの世界へと導くような本にしたいと考えました」(担当編集者の谷内博一さん)

 西洋哲学や政治・経済・社会学に、歴史・アート・文学といったオーソドックスな分野はもちろん、宮本武蔵の『五輪書』など類書で手薄になりがちな東洋思想の扱いも手厚い。工学部卒という著者の経歴を活かして、サイエンスや数学・エンジニアリングの名著を取り上げている点も特色だ。

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 40代~50代のビジネスパーソンを主なターゲットに想定していたが、読み応えのある教養本を求める60代以上の読者にもリーチ。そこから子や孫世代にも広がり、下は小学生の読者までいるそうだ。

 さらに刊行から1年以上経った今年1月、SNSで一般読者の感想がバズり、そこから一挙に2万部以上も売り伸ばした。硬派な学びのニーズを掘り起こし続けている。

2023年11月発売。初版1万部。現在9刷8万部(電子含む)