みんな大好きファミリーレストラン。メニューを開けば和洋中の食事メニューに軽食からおつまみ、デザートまで、中にはドリンクバーやアルコールを楽しめる店まである。このようにファミレスという業態は「何でもある」ことを強みとして、支持を獲得してきた。
いわば「総合型」を大きな特徴とするのが従来のファミレスだが、昨今は特定のアイテムやジャンルに絞った「特化型」にシフトしつつある。本稿では、時代の流れとともにみられるファミレスの変化を考察しつつ、一方で中小の飲食企業や個人店まで「ファミレス化」していることについて考えたい。
吉祥寺に登場した「香港式ファミレス」とは何か?
4月、東京・吉祥寺に「洋洋冰室(ヤンヤンビンサ)」という飲食店がオープンした。同店が謳うのは「香港式ファミレス」。西洋と中華が融合したこだわりの香港フード&ドリンクが楽しめるという。ずいぶんとコンセプチュアルなファミレスができたな……と気になり、足を運んでみた。
入店するとスタッフは「いらっしゃいませ」ではなく「ネイホウ(こんにちは)」と香港の言葉で挨拶をしてくれる。広々とした店内はテーブル席が配置され、一部、カウンター席もある。
メニューはモーニング、ランチ、ディナーで分かれている。時間を問わず1日を通して利用できる点は、従来のファミレスらしい。
一方、料理の仕立ては「香港式」だ。
