スシロー系企業が始めた“新業態”とは?
それが、スシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIESのグループ会社がはじめた「天ぷら定食 あおぞら」。スシローが持っている魚の調達網、さらに天ぷらの調理技術を生かし、天ぷらを主体として生まれた業態だ。
あおぞらを手掛ける会社は「杉玉」という居酒屋の経営も行っていて、「回転寿司以外」のモデルを模索している。高級店舗を作るくら寿司とは違う戦略だが、両社は「格安回転寿司チェーン」だけに頼らない経営モデルを作ろうとしている点で共通している。
「高級くら」は成功するのか “意外な競合相手”は…
これまで関西拠点だった無添蔵は、関東で、もっといえば全国で成功を収めるだろうか。
結論からいえば、もう少し無添蔵ならではの特徴を押し出した方が良いのではないか、と感じたのが率直なところだ。実際に訪れて思うのは「前評判より回転寿司感が強いな」ということ。もちろん「プレミアム回転寿司」なのだから当然なのだが、タブレットの注文や目の前を回るレーン、店の作りを見ると「ちょっと良いくら寿司」という印象を持った。
メニューにしてもそうだ。実際、いくつかのメニューは通常のくら寿司と共通で、デザートなどは被っているものが多い。それでいてくら寿司よりも数十円ほど高いとなると「じゃあ、普通のくら寿司行けば良いかな?」となってしまう。ちょっと意外だが、その点で無添蔵の競合相手は現状「くら寿司」と言えるかもしれない。
もちろん無添蔵は寿司ネタを中心にこだわりがすごいのだが、いかんせんそもそもの「くら寿司」自体が、おいしい(と思う人が多いはずだ)。そしてコストパフォーマンスも高い。だから、くら寿司との違い、となると無添蔵の優位性に疑問符が付いてしまうのが現状だと感じた。そうなると「ちょっと良い寿司を食べよう」と思ったときの候補に無添蔵が上がるかどうか。せっかくたまに良いお寿司を食べるならば、どうしてもくら寿司がチラつく無添蔵ではない場所を選ぶ人も多いのではないか、という気がする。
とはいえ、筆者が訪れたときは大盛況だったし、回転寿司チェーンがこれまでのやり方でやっていけなくなるのは当然。こうしたチャレンジは今後、必須になってくるだろう。無添蔵の拡大はまだまだ始まったばかりで、メニューやサービスなどによって店のキャラをどのように確立していくかが、無添蔵の今後を占うポイントになるだろう。
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