――なるほど。

渡辺 私、やっぱり学ぶことが一番面白いなと思うんです。若い頃っていろんなことを欲張りすぎて、結局飽きちゃって「ああできない」ってなることがすごく多かったんだけど、ピラティスはなんだかんだ二十数年続けてこられました。

 だから、なんでもいいんですけど、好きなことや好きなテーマはブレずに好きでい続けることが大切。大切というか好きでい続けてほしいなって思います。究極自分がやりたくないことをやる必要はないと思うんですよ。

ADVERTISEMENT

©佐藤亘/文藝春秋

――無理して何者かになる必要はない。

渡辺 そう。でも絶対悩むよね……。私はバラエティも含めこの仕事が好きだし、やめることも考えられないです。本当に無理することはないです。

――でも「無理しない」って本当に難しいです。

自分の好きなものが自分自身を作っていく

渡辺 ただ、何もやらないんじゃなくて、やっぱり自分と向き合い続けることがきっと大切なので、自分は何が好きなのかとか、何がやりたいのかとか。そうやって見つけたものを大切にしてほしい。

――今アイドルされている方たちも、次のキャリアのことはすごく考えてらっしゃると思うんですけど、今話を伺っていて、やっぱり「渡辺満里奈」にはなれないよな……。とも思いました。「渡辺満里奈」はもう二度と生まれない。

写真=『不機嫌ばかりな私たち』〔渡辺満里奈 著/講談社 刊〕より

渡辺 もちろんそうですし、私だって「キョンキョンみたいになりたい」って思っていたけど、私は小泉今日子さんにはなれないんですよ。すごくかっこいいなって今でも思ってますけど、でも彼女にはなれない。絶対に。

 だからそう思うと、やっぱり自分の好きなことを大事にするしかないんですね。それが自分自身を作るっていうことだから。私が小泉さんになる必要もないし、なれるわけもないし、誰かが私になる必要もない。

――すごく励まされます。

樹木希林さんからの「行けるところまで頑張るのよ」

渡辺 私、以前樹木希林さんと共演した時、岩手県花巻市で撮影をご一緒していて。寝食を共にしながら色々お話を伺っていたんです。その時希林さんがね、私の事をすごく心配してくださって。

「あなたもう心配だから。何も考えてないでしょ、満里奈ちゃん」って。「でも頑張るのよ」「行けるとこまで頑張るのよ」とアドバイスされたことがありました。その時は「はい!」と思ったんですけど、それはすごく覚えていて。希林さんから見ても、この子どこに芯があるんだろうと、ふわふわしているなと思われたんでしょうね(笑)。

©佐藤亘/文藝春秋

――「芸能界を生き抜いていくぜ!」みたいなタイプではない。芸能人ぽくない。

渡辺 ぽくないとは思いますね。芸能人っぽい、っていうのが何かは難しいですけど。本当に波乱万丈じゃなくて、ごめんなさい。つまらなかったですよね(笑)。

 でも、この生き方で、行けるところまで行けたらいいなとは思っています。

撮影=佐藤亘/文藝春秋

不機嫌ばかりな私たち

渡辺 満里奈

講談社

2025年5月29日 発売

 

最初から記事を読む 家族への“モヤモヤ”をどう伝える?「LINEで言うのも角が立つと思って…」17歳&15歳の母・渡辺満里奈(54)が考えた“驚きの方法”

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。