――そこから事態が変わったのは?
エマ 医学部4年生だった26歳の時、とんでもないお腹の痛みに襲われて。それから1年の間に数回、同じような症状で救急に駆け込むようになり、血液検査、大腸内視鏡、胃カメラ、X線等々、地上にある検査はほとんどやったけど、どれも異常なしだったんです。
「周りからはサボってると思われていた」研修医時代は体調不良で休みがちに…
――体調は悪いのに診断名がつかなかったと。
エマ 30歳で医師国家資格に受かって研修医として働き出すんですけど、すでに食べることが難しくなっていたので、食べないままオペの見学に入り、結局、低血糖で具合が悪くなって休むことになったりして。
今思えば、周りからはサボってると思われていたんじゃないかな。それまでずっと優等生できていたこともあって、辛かったですね。
――周りの同僚と比べて落ち込むこともあった?
エマ 研修医を経て専門医になり、給料も上がって……と、周りはどんどん先に行ってしまう中、私は何ひとつできていないのではないかという焦燥感はずっとありました。
自分なりにいろいろ調べて「甲状腺機能低下症」の検査をしたら診断に至ったのですが、研修医2年目の時、出勤途中に突然、道端の花壇にマーライオンのようにわーっと大量に嘔吐をしてしまって。やはりこれは甲状腺機能とは別の疾患が宿っている……と思いました。それでまた入院していろんな検査をしたんですけど、やっぱり原因不明と。
医者から「あなたは心の弱い人」と言われ、精神疾患と診断される
――その時点で15年以上、原因不明の体調不良を抱えていたかと思いますが、診断がつかないことでどんな負担がありましたか。
エマ 医者も頭を抱えてしまって、結局、精神疾患じゃないか、と押し切られてしまったんです。それで、精神安定剤のようなものを多い時で1回12錠ぐらい飲んでいました。
ある医者からは、「あなたは心の弱い人だとわかったので、適当に結婚してバイト医者でもすればいいんじゃない」と言われました。今で言ったら“ドクハラ”ですし、その言葉は忘れられないですね。その医者の放った言葉を思い出すと、チャゲアスの「今から一緒に これから一緒に 殴りに行こうか~♪」が脳内で流れ出しますよ(笑)。

