――ひどいです。そういった医師の姿を見て、医学の世界に失望することも?
エマ 正直、診断がついていない患者には冷たいな、と思いましたね。「慢性偽性腸閉塞症(CIPO)」のきょうだいみたいな「ヒルシュスプルング病」という病気があるんですけど、都内の病院でその検査をして陰性になったら、もう医師が回診にこなくなって。
そうしたら精神科の先生が来て、どれだけ私が精神的に病的であるかを滔々(とうとう)と語って、「心身症ということでいいですね」とゴリ押しされるような感じだったんです。
「医師から『精神病だ』と言われて混乱して…」追い詰められてうつ病に
――エマさんとしては、「これは心の病とは違う」という確信があった?
エマ 自分の身体は絶対に何かおかしい、というのはずっと感じていたので、医師から「精神病だ」と言われて、混乱しました。
じゃあ私が精神疾患だとして、どこがどうおかしいのかもわからない。それで追い詰められて、鬱になりました。
患者になって思ったのは、患者が訴えていることって本当なんですよね。
――患者の言葉をそのまま受け止めない医者が多い?
エマ 医者は検査で出た“数値”に目がいっちゃうんですよね。
でも、数値がどうであろうと、患者が「痛い」と言っている時は、本当に痛いんです。なんでそれが聞こえないかな、というのはすごく思いましたね。一部の医師は、病気を見ていても、患者は見ていないんだな、と。
「“面倒な患者”だと思われているんだろうな」
――エマさんは患者であると同時に医師でもあるわけですけど、そうすると診てくれるお医者さんの態度も違ったりする?
エマ 粗雑には扱われないですよね(笑)。でも、「不定愁訴」という言い方をするんですけど、要するに、数値上は問題ないのに痛みや辛さを訴える、“面倒な患者”だと思われているんだろうな、というのは感じました。
自分の方が医学知識があるのに……と思うような場面もありましたけど、「あなたは心の病気だから」と言われ続けると、本当に病んでいくんですよ。

