――ひどいです。そういった医師の姿を見て、医学の世界に失望することも?

エマ 正直、診断がついていない患者には冷たいな、と思いましたね。「慢性偽性腸閉塞症(CIPO)」のきょうだいみたいな「ヒルシュスプルング病」という病気があるんですけど、都内の病院でその検査をして陰性になったら、もう医師が回診にこなくなって。

 そうしたら精神科の先生が来て、どれだけ私が精神的に病的であるかを滔々(とうとう)と語って、「心身症ということでいいですね」とゴリ押しされるような感じだったんです。

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「医師から『精神病だ』と言われて混乱して…」追い詰められてうつ病に

――エマさんとしては、「これは心の病とは違う」という確信があった?

エマ 自分の身体は絶対に何かおかしい、というのはずっと感じていたので、医師から「精神病だ」と言われて、混乱しました。

 じゃあ私が精神疾患だとして、どこがどうおかしいのかもわからない。それで追い詰められて、鬱になりました。

 患者になって思ったのは、患者が訴えていることって本当なんですよね。

――患者の言葉をそのまま受け止めない医者が多い?

エマ 医者は検査で出た“数値”に目がいっちゃうんですよね。

 でも、数値がどうであろうと、患者が「痛い」と言っている時は、本当に痛いんです。なんでそれが聞こえないかな、というのはすごく思いましたね。一部の医師は、病気を見ていても、患者は見ていないんだな、と。

20年もの間、医療難民になっていた(写真=本人提供)

「“面倒な患者”だと思われているんだろうな」

――エマさんは患者であると同時に医師でもあるわけですけど、そうすると診てくれるお医者さんの態度も違ったりする?

エマ 粗雑には扱われないですよね(笑)。でも、「不定愁訴」という言い方をするんですけど、要するに、数値上は問題ないのに痛みや辛さを訴える、“面倒な患者”だと思われているんだろうな、というのは感じました。

 自分の方が医学知識があるのに……と思うような場面もありましたけど、「あなたは心の病気だから」と言われ続けると、本当に病んでいくんですよ。