立ち止まって乗ることで、後ろから来た歩行者からの嫌がらせを受けたり、不毛なトラブルに巻き込まれたりしたくないという心理が働くのだろう。じっさい過去には、そういった迷惑な歩行者がいたこともあって、今でもじっと我慢して長蛇の最後尾に並んでしまうという人もいるかもしれない。
マスク警察ならぬ「エスカレーター警察」が生まれる?
だがこのところのSNSを見ると、「急いでいたのに前に立ち止まっている人のせいで電車に乗り遅れた」などといった歩行者からの恨み節はありながらも、逆に、これまで歩行者に不満を感じ我慢してきた人たちの怨嗟の声も(これまたGACKT氏らの発信以降)噴き出してきているように見えるのだ。
こうなると「潮目の変化」をきっかけとして、今まで不満を抱えつつ我慢して長蛇の列側に立ち止まってきた人のなかに、SNSにとどまらず、駅構内でも声を上げようと思う人が出てきてもおかしくない。だがそうなると心配なのが、客どうしのトラブルだ。
コロナ禍では、駅や電車内でマスクを着けない人にたいして必要以上に警告を与える「マスク警察」なる人たちが発生した。これと同様に「エスカレーター警察」なる人たちが各所で発生し、歩行する人たちとのトラブルがいたるところで勃発してしまわないかが危惧される。
先ほどの口頭で注意を促した人にしても、もし注意された歩行者が言い返すなど「逆ギレ」した場合、どうなったであろうかと想像するとゾッとする。動くエスカレーター上でもみ合いになれば、当人どうしばかりか同乗している多くの利用者にも危険がおよぶ。
鉄道会社はいい加減に本腰を入れるべき
私はよく利用する西武鉄道池袋駅の駅係員に、こうした懸念を伝えた。「駅ではポスター掲示はあるものの、歩行禁止の音声アナウンスをしないため、いまだに歩く人が後を絶たない。このまま放置して、もし事故やトラブルが起きたら鉄道会社が管理責任を問われかねないのではなかろうか」と。