保育園に預ければ「そんなに小さいうちから保育園に預けて寂しい思いをさせるなんてかわいそう」と言われ、逆に家で育てていると「家でずっとお母さんと過ごしていると社会性が育たない」と言われる。母親に原因があるわけではない子どもの病気や行動についても、母親が責められてしまうことがあります。
「母乳か粉ミルクか」についても、よくマムシェイミングのターゲットになっています。私は、長男を出産した時は、妊娠期間中よりも難産だった出産よりも、産後の授乳期の方が心身ともにつらく感じられました。結局授乳をやめて粉ミルクに切り替えたのですが、その時には急に視界が明るく感じられたことを覚えています。
「私は母乳育児に“失敗”したんだ」という烙印
ただ、授乳をやめることを決めるまでには、大きな葛藤がありました。産後のホルモンバランスの影響もありましたが、やはり「粉ミルクよりも母乳の方が子どものためになる」という社会的プレッシャーも大きかったです。ですから、授乳をやめると決めたあとも、「私は母乳育児に“失敗”したんだ」と烙印を押されたような思いが消せませんでした。
長男が大きくなった今となっては、あの時に与えたのが母乳でも粉ミルクでも、息子は今と同じように育っていただろうと自信を持って言えます。だからこそ、妊娠・出産後で心身ともにダメージを受けていたあの時に、母乳育児に執着させるようなプレッシャーを与えないでほしかったと強く思います。
母乳でも粉ミルクでも、母親たちは誰もが、大変な思いをしながら頑張って子育てをしています。ただでさえ、自分の一挙手一投足が、子どもに大きな影響を与えるのではと責任の大きさに押しつぶされそうになっている時です。悩みぬいて決めた選択に対して罪悪感を持たせ、マムシェイミングをするのではなく、ねぎらいの言葉をかけられる社会であってほしいと思います。
