ニューヨーク市長選の民主党予備選で、33歳のゾーラン・マムダニ氏が当選し、波乱が巻き起こっている。共和党や保守系メディア、そしてトランプ支持者はパニックに陥り、マムダニ氏への激しい非難がSNSに拡散されている。

 マムダニ氏とは何者なのか? この歴史的な選挙の行方、そしてマムダニ氏がニューヨークに何をもたらすのか。ニューヨーク在住のライター・堂本かおる氏が寄稿した。

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「イスラム教徒がニューヨーク市長に?!」「テロリストだ!」「共産主義者だ!」「社会主義者だ!」

 6月24日にニューヨーク市長選の予備選が行われ、民主党は10名を超える立候補者の中から弱冠33歳のゾーラン・マムダニが当選した。マムダニと競い合った元ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモが早々に敗戦スピーチを行うと、大統領トランプを含む共和党の政治家、保守系メディア、MAGA(トランプ支持者)がパニックに陥った。

NY市長選の予備選で、激戦を制し民主党候補として当選したゾーラン・マムダニ氏 ©AFP=時事

「顔は最悪、声は耳障り、頭も悪い」トランプが激しく非難

 トランプは自身のSNS「トゥルースソーシャル」にて、相手の政策・容姿・能力を混同して攻撃するポストを行なった。

「ついに民主党が一線を越えた」
「アタマのおかしい100%共産主義者」
「顔は最悪、声は耳障り、頭も悪い」
「我が国の歴史における重大な瞬間だ!」

 2024年大統領選に立候補し、早々に脱落したフロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)は不可思議なロジックを披露した。

「この社会主義者の市長候補が勝てば、(フロリダ州の)パームビーチの不動産価格はさらに急騰するだろう。なぜなら人々はニューヨーク市から出て行くだろうからだ」

SNSにはイスラム嫌悪ミームが…

 MAGAたちはイスラム嫌悪ミームをSNSに大量投下した。多くは9.11同時多発テロ事件の際にワールドトレードセンターが炎上している写真に「9.11を忘れたのか!」と書き添えたものか、自由の女神が黒いブルカを着ているものだ。ブルカはイスラム教徒の女性が着用する全身を覆う着衣で、目の部分だけが開いているもの。「ニューヨークは終わった」「これが望んでいる未来なのか」などと書かれている。

ジェームズ・ウッズのXより

 かつては人気俳優であったものの今は極右と化し、ツイッター(現X)を一時凍結されたこともあるジェームズ・ウッズもブルカ姿の女神像を「お前らがやったことだ、頭のおかしいお前らめ」とポストしている。