とんでもない欠陥機というほかない。現在、自衛隊にも配備され、日本各地の上空を飛ぶV22オスプレイを想起するが、それ以上だ。F100戦闘機は、宮森小墜落事件の2年後の61年12月7日には具志川市に墜落し、死者2人、重軽傷者6人を出している。
「美ら海水族館」へ行く途中に石川は見える
沖縄における米軍機墜落事故は、04年8月13日、米軍のCH53D大型輸送ヘリが宜野湾市の沖縄国際大学に墜落した事故のイメージが強いが、その後も、民有地を含め何度も墜落・不時着事故をくり返している。米軍機からの落下物は頻繁で、17年12月には宜野湾市の普天間第二小学校に米軍ヘリの窓、緑ヶ丘保育園には部品が落ち、関係者に衝撃を与えた。
宮森小の墜落事件は過去の悲惨な出来事などではなく、現在もいつ起きても不思議ではない脅威なのだ。東京上空でも米軍機は自由勝手な低空飛行を続けており、これは沖縄に限った問題ではないのだ。
久高さんがこう訴える。
「私たちは、資料集や証言集をつくってきましたし、いろいろな機会に講話もしています。毎年、大阪の中学校が私たちの話を熱心に聞きにきてくれますし、修学旅行の宿泊先に出向いてお話することもあります。けれども、この宮森小の事故のことは全国的にはなかなか広がっていきません。海勢頭さんの『630の誓い』は子どもたちでも歌えますから、特に学校の先生方に知っていただきたいと思っています」
石川へは、那覇市から「美ら海水族館」へ行く途中で立ち寄ることができる。米軍基地があるために、命を落とした人々に思いを馳せたい。
ジャーナリスト
1967年愛知県生まれ。『週刊文春』『週刊朝日』などの専属記者を経て、現在はフリーランス・ジャーナリスト。著書に『どうして私が「犯人」なのか』(宝島社新書)、『司法崩壊』(WAVE出版)など。
