元ニッポン放送社長の亀渕昭信氏が、いわゆる「ライブドア事件」で繰り広げたTOB攻防戦について当時の日記を交えながら振り返る。脚光を浴びた買収騒動の内幕を赤裸々に明かした。ニッポン放送株の約30%を取得したライブドアへの対応をめぐり、フジテレビの日枝久会長(当時)らと話し合いを行ったが……。
■カメ社長の買収防衛日記|亀渕昭信
前編 ライブドア事件20年「当時の日記を初めて公開します」
中編 日枝さんのおっかない顔
後編 ニッポン放送を救った日枝さんとの約束
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「裏切るの?」と言いたいけれど…
台場で会った日枝さんは鬼の形相でした。要するに「言うことを聞け」の一点張りで、私が「TOBの株価を上げて50%以上を目指すのはナシ?」と訊いても取り合わない。日枝さんはすでにニッポン放送株を50%以上買い集めることは難しいと考えているようでした。新たな防衛ラインとした25%を守り、株主総会で拒否権を行使できる3分の1を何とか超えたい。それが日枝さんの構想だったと思います。
2月14日以降、フジテレビはニッポン放送救援に対し及び腰になっていきます。内心では「裏切るの?」と言いたいけれど、ライブドアから直接攻撃を受けているのはニッポン放送で、私はその社長なのだから責任重大、天井さんの忠告どおり、なるだけ深呼吸するようにしてました。基本戦略は“慌てない。動かない。待てば海路の日和あり”。
なんだか人生止めたくなる
05年2月15日火曜日 晴れ
早速、天井副社長と打ち合わせ。午前中に尾上さんと大和証券が貸し株問題の契約書案を持ってくるという。
明日の役員会に間に合えば良いのだが。今日午後、中村先生にチェックをしてもらうことになるだろう。村上ファンドのばか野郎達が、茶々を入れないとも限らない。嫌な渡世でござんす。
天井副社長と話している時、LD堀江から電話、今夕でも会いたいという。「今はTOBの最中、お話出来ない」と伝えてもらう。
顔が火照るのが気になり医務室へ行く。血圧、なんと178であります。もうブチ切れ寸前。危ないね、これは!
