・歩行速度が遅くなった

「65歳時点の歩行速度で、その人の寿命がある程度わかる」と言われるほど、歩行速度は健康状態の重要な指標です。

歩くという動作は、背骨・股関節・膝・足首といった全身の関節と筋肉の連動によって成り立っています。したがって、歩行速度の低下は、どこかで代償が始まっているサインである可能性があります。見逃してはならない老いの兆候といえるでしょう。

「ソファでのんびり」は背中にダメージを与える

これはある意味、予想通りかもしれませんが、運動不足、暴飲暴食などによって、体重コントロールができていない生活は、確実に背中を老けさせていきます。私が診察室で患者さんと向き合うなかで、「この方は生活習慣が乱れているな」と感じる方ほど、背中の老化が進んでいる印象を受けます。

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また、長時間のデスクワークなどで前かがみの姿勢が続くと、背骨の奥にある重要な抗重力筋、とくに脊柱起立筋などが活動しなくなります。このような筋肉(抗重力筋)は、重力に逆らって立つことで活性化されるものです。

ソファに深く腰掛ける、スマホを長時間のぞき込むなどの習慣は、背中の筋肉を完全にサボらせます。使われなくなった筋肉は確実に衰え、その代償として腰や膝、足首など他の部位に負担がかかる──結果として痛みや変形の原因になるのです。

運動不足は、姿勢を保つために不可欠な筋肉を蝕んでいきます。ですから、毎日たった数分でも構いません。後ほど紹介する「老い出し体操」を継続していただきたいのです。

そして、体重のコントロールができていない人もまた、背中の老化が一気に進む傾向があります。体重が増えることで骨や椎間板、筋肉への負担が増し、結果として背中の丸まりにつながるためです。暴飲暴食は、背中の老化を早めるものと考えています。

背中への意識が、長寿への近道になる

多くの人は、自分の背中に無頓着です。それも無理はありません。背中というのは、自分の目では見ることができず、人からも指摘されにくい「死角」にある部位だからです。