QOL(クオリティ・オブ・ライフ/生活の質)の対極の概念なのですが、QOL(人として満足して、自分らしい生活が送れているか)を耳にしたことがあっても、QODについてはほとんどの人が聞いたことがないでしょう。

QODは1980年代から欧米で使われ始めた概念で、直訳すると「死の質」となり、いかにして満足した死を迎えるかという、終末期(治療をしても病気の回復が期待できないと判断された、余命が残り少ない状態)の質のことです。

どのように死を迎えるか、死に場所や死に方について考えたり、人生を振り返ったり、遺言やお墓の準備をしたり、家族や友人とコミュニケーションをとったりすることが、QODを高めるといわれています。

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世界的に見ると低い日本のQOD

QODについての研究は、21世紀に入ってから盛んになってきています。これは終末期をどのように過ごすか、家族のケアをどうするのかなどが、世界共通の課題となっているからです。

世界トップクラスの長寿国である日本ですが、残念なことに、QODについてはかなり遅れています。イギリスの経済紙『エコノミスト』が、2010年と2015年に全世界のQOD(死の質)ランキングをまとめて発表しているのですが、日本の順位は、2010年は40カ国中23位、2015年は80カ国中14位でした。2010年に比べるとかなりランクアップしていますが、高いとはいえない順位にとどまっています。ちなみにアジアでは台湾、シンガポールに次いで3位でした。

日本の総人口における高齢者(65歳以上)の割合(高齢化率)は、2024年には29.3%と過去最高に達し、超高齢社会となりました。これから迎えるのは、死亡者数が増加して人口減少が進む多死社会です。看取りの数が増える多死社会では、これまで以上に死が身近になり、死について考える必要が出てきます。

★“死”について考えることでQODは高まります