そして4年生になると、リョウジくんが母親に「嫌なことがある」と訴えることが一気に増えた。「学校には行ける。我慢できないわけじゃないけど、しんどいときもある」と言っていた。母親は「仲間はずれが悪化した」と感じていた。担任には、これまでのトラブルについての相談をしていた。

「担任からは仲間外れに関する件のほか、『息子への苦情が増えている』と聞いていたので、3年生の頃から続くトラブル(デマの存在)が背景にある可能性を伝えていました。しかし担任はイジメの影響について考慮せず、また息子の言い分を聞かずに、息子に一方的に非があるかのような発言をしていました。私はその対応に対して抗議していました。

 当時の私の率直な印象としては、担任は『注意深く見守る』と言いながら、何かが起きてから対応するという受け身の姿勢だったと思います。そのため、5年生になる際には『Aとクラスを分けてほしい』と強く要望し、教育委員会にも相談しました。しかし、校長から『確約はできない』と言われました。イジメと認定したにも関わらず、『クラスを分ける』という、息子を安心させる対応すら約束できないことに、非常に驚きました」

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「なんでアドバイスを聞かないんだ」「あやまれ」と資料が荒らされ…

 母親は同級生の保護者と情報を共有するようにしていたが、授業でのタブレット使用でトラブルがあったという話がママ友からもたらされた。

 タブレットでプレゼンテーション資料を作成する授業には、クラス全員がお互いの資料を閲覧してアドバイスや感想などのコメントを書き込める仕組みがあった。資料にデジタル付箋を貼ったり欄外のコメント欄で資料の改良ポイントを伝えるための仕組みだったが、これが悪用されたのだ。

 母親やリョウジくんの証言によると、リョウジくんの資料全体にデジタル付箋が貼られ、資料が見えないほどになっていた。最初に書かれた内容は覚えていないものの、書いているのは主に4人で、「なんでアドバイスを聞かないんだ」「あやまれ」など、「見た人が嫌な思いをする内容」(調査委員会の報告書)で、アドバイスとは言えないものも多く、“荒らされている”状態になっていた。