その時点でも調査対象となる利害関係者2名(区の教育委員会の担当者と、助言を行ったスクールロイヤー)がメンバーに選任されており母親は再び抗議したが、調査は続行された。大半の調査が終了した後にようやく一部の担当者は解任されたという。
「そのほかにも、いじめ防止対策推進法で義務づけられた対応がなされず、何度も指摘しても改善されなかったんです」(母親)
調査開始から1年10カ月後に送られてきた中間報告も、納得のいくものではなかった。
「入学年度やクラス構成が異なって記載されているなど、客観的な資料を確認していないことは明白でした。また、加害者の取り違えといった重大な誤認も含まれていたんです。おそらく、教員や加害児童の記憶に頼った証言だけを事実として認定したんだと思います」(母親)
メンバーが首謀者以外明示されない、不十分な報告書
母親は、中間報告書の内容にリョウジくんの証言や提出した資料を反映すべきだと意見を提出し、卒業して1年後に最終報告書が完成した。しかし「リョウジをぶっ飛ばす党」のメンバーはA以外は明示されていないなど、不満はまだ大きいという。
「調査委は中立公平と言われるが、結局、区教委が設置するため独立性がない。いじめ防対法には罰則規定がなく、たとえ違反しても、マスコミなどの外部からの圧力がなければ、誰からも問責されないのが現状です。最終報告で学校の対応の問題点が指摘されたのはよかったと思いますが、あくまで学校側の対応のみで、区教委の対応は特に指摘されていません。調査報告書に対して指摘するときにママ友との日々のLINEでの情報共有が大きな助けになりました。あれがなかったらと思うと、本当にゾッとします」
リョウジくんはその後、「リョウジをぶっ飛ばす党」に入っていた子と同じ中学校への進学を避けるために都外の私立中学校に進学し、家族も引っ越しをした。イジメの被害にあった側に大きな負担がかかる状況はまだ改善されていない。