「お前のせいで、俺がイジメをしてるって言われている」と逆ギレ
「逃げられたと思いました。先生は『Aがイジメの主犯だとAの親にも伝えた』と言っていましたが、AもAの親も一度も謝ってはくれませんでした。それどころか、塾の帰りにAから『お前のせいで、俺がイジメをしてるって言われている』と文句を言われたこともあります。Aの親が謝らないことには驚きましたが、Aについては『まあ、Aらしいな』とも思いました」(リョウジくん)
リョウジくんは徐々に、学校への不信感も強く持つようになっていた。
「最初にイジメの相談をした時に担任から『リョウジくんにも問題があるんじゃない?』と言われたので、僕からは何も言えなくなりました。口では『イジメは絶対に許さない』と言っていても、ちゃんと調べようとせず、大ごとにしたくないんだろうなと思いました。担任が僕に直接、状況や気持ちを聞いてくれたことはありませんでしたし。こんな無責任な人たちが先生として子どもの前に立っているのは、おかしいと感じています」(リョウジくん)
母親はAに対して当初は強い怒りを抱いていたが、徐々に感情が変化していったという。
「息子がAと仲が良かったころ、Aは私にもよく話しかけてきて、自分が仲間外れにしている子の悪口をよく言っていました。理由を聞くといつも、『自分は何もしていないのに、相手が○○してきたから…』と言っていたのを覚えています。
グループの存在を知らされた直後は、Aに対して『許せない』という強い怒りが込み上げてきました。けれど、夫に『それでもAもまだ子どもだから、子どもを責めるのは違う』と諭され、私自身も次第にそう考えるようになりました。問題は、Aを取り巻く大人たちの関わり方にあるのではないかと感じています」
リョウジくんが登校しなくなってからも学校や教育委員会とのやりとりは続き、それも家族に大きな負担となっていた。
「いじめ重大事態」に認定されたのはリョウジくんが4年生だった3月末。ただし、設置された調査委員会のメンバーの中立公平性に問題を感じた母親が抗議し、約半年後にようやく第三者を含む調査委員会が設置された。
