ポストシーズン・パドレス戦での5回2安打無失点
山本は、メジャー移籍の初年度からワールドチャンピオンに輝きました。ポストシーズンは、2024年10月5日のサンディエゴ・パドレスとの初戦こそ3回5安打5失点とふるいませんでしたが、初めてのプレーオフだったため、緊張が多少なりとも影響したのではないかと考えています。
ベースボールは、メンタルが大きな影響を与えるスポーツです。レギュラーシーズンとは別世界なほどに盛り上がるスタジアムで、ワールドチャンピオンへの道へ続く最初の登板でした。
フィールドにはベースボール界で最高レベルの選手たちが揃い、ファンも地鳴りのような応援でその期待を伝えます。そうした状況下で、自身の能力を発揮して勝ちたいと意気込むのですから、緊張の影響があるのは自然なことです。山本の能力には、全く問題はありませんが、わずかな心理面のゆらぎが大きく投球に影響を与える以上、そういった部分があったように思います。ですが、これもすぐに順応しました。続く10月11日のパドレス戦では、5回2安打無失点と試合をつくり、チームを勝利に導いています。
グラスノーはメカニクスやトレーニングに感銘
山本はマウンドでは、クールでめったに喜怒哀楽を出すことはありませんが、内心は緊張していたのだと推察します。思うに、大谷翔平の存在はとても大きかったのではないでしょうか。大谷はチームを明るく盛り立てたり、お調子者のような振る舞いをしたりして、山本を巻き込んで彼を楽しませています。山本は大谷ほど外交的ではないように見えます。
一方の大谷は、ベンチでも目立っていて、まるで大きな子どものようです。彼が雰囲気を和らげていることは、同じ日本から来た山本にとっても心地よいことでしょう。しかも、単なるムードメーカーどころか、すでにメジャーで多くを経験してきた最高の見本となる逸材です。非常に賢い選手でもあり、その経験と知識をいかんなく山本に伝えられます。これ以上、理想的な環境はないでしょう。
ドジャースには、タイラー・グラスノーというエース格の投手がいます。身長203センチ・体重102キロでという恵まれた体躯で、長い手足を活かしたメカニクスが特徴的です。身長178センチ・体重80キロの山本とは、体型もスタイルも異なる投手ですが、グラスノーは山本の無駄のないメカニクスやトレーニング方法に感銘を受け、多くを学んでいるといいます。

