日本を動かす官僚の街・霞が関から“マル秘”情報をお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「霞が関コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。

“フッ軽”の新経産次官

 経産省は7月1日付で飯田祐二次官(昭和63年、旧通産省入省)が退任し、同期で経済産業政策局長だった藤木俊光氏にバトンタッチした。藤木氏は製造産業局長や官房長など4つの局長級ポストを歴任。満を持しての登板となる。

 大きな背中を少し丸め、政財界をフットワーク軽く回る一方、会食がない夜は若い部下と居酒屋に繰り出すことも。「相手が政治家でも部下でも、ざっくばらんに胸襟を開く姿勢は変わらない」(課長)。利害が錯綜する政策も、粘り強く解きほぐすのが持ち味だ。

トランプ関税交渉の前線に立つ赤澤亮正経済再生担当相(右端)と、スコット・ベセント米財務長官(中央)、ハワード・ラトニック米商務長官。経産省は赤澤氏に対米協力策を提供しする役割を担う ©時事通信社

 自民党の甘利明元幹事長ら商工族を中心に政界人脈にも通じ、世耕弘成元経産相にとりわけ気に入られた。経産相を務めた旧安倍派の有力者が裏金問題で揃って失脚し、「いつまでも商工族のトップが不在のままでは、半導体の巨額支援や脱炭素政策は進めにくいだろう」(党三役経験者)との指摘も。そうした中で、「商工族のドン」の座を虎視眈々と狙うのが茂木敏充前幹事長だ。だが自民党内では「利益配分を渋るところがあり、族議員たちをまとめきれないのでは」(閣僚経験者)と、冷ややかな視線も。藤木氏に加え、将来の次官就任が有力視される片岡宏一郎官房長(平成4年、同)のハンドリングが問われる。

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 今回の人事には、日米関税交渉の影響も色濃く反映された。松尾剛彦経産審議官(昭和63年、同)と荒井勝喜通商政策局長(平成3年、同)、伊吹英明製造産業局長(同)は揃って留任。「自動車の関税を下げられるか否かが勝負所。今は陣替えできる状況ではない」(経産省首脳)。

この続きでは、秋の経産省人事について官邸筋などがコメントしています》

※本記事の全文(約5700文字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年8月号に掲載されています(霞が関コンフィデンシャル)。

 

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出典元

文藝春秋

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