2人の娘たちは断固反対。それでも出場したワケ

——2人の娘さんたちからは何か言われましたか?

横田 断固反対でした。手術後、娘たちは私の姿が人に見られることをとても嫌がっていたんです。

 1年ほど経って少しずつ状況を受け入れてくれるようになり、(娘の)学校にも行けるようになりましたが、マラソンは目立つじゃないですか。そこまでは、まだ受け入れきれていなかったみたいです。

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 どうにかして大会の参加を止めようと、練習に行こうとする私に「ご飯は?」「どこどこ連れてって」と邪魔をしてきて、結局夜10時頃から走ることもありました。お互い意地になっていましたね。

 娘たちはマラソンに出てほしくない。でも私は、マラソンを頑張ることでしか未来が見えないと思っていました。

長女が号泣しながら「ママ、頑張って!」と…

——熊本城マラソン当日も、ご家族は反対したままでしたか?

横田 そうです。当日はテレビの取材が入っていて、テレビ局の方が家まで迎えに来てくれたのですが、家族はみんな寝ていたと思います。「見に来れたら来てね」とは一応伝えていましたが、最後まで「出なくていいよ」と言われていたし、応援に来るかどうかもわかりませんでした。

 それから大会がスタートして、初めてのマラソンにドキドキしながら走っていると、10キロ手前くらいで家族の姿が見えたんです。

 

 長女が号泣しながら「ママ、頑張って!」と声援を送ってくれて、「めっちゃ応援してるやん……!」と思いながら走り抜けて。びっくりしたけど、嬉しかったですね。

 結局、22キロまで走って時間制限で終了。途中リタイアだったので一度熊本城まで戻らないといけなくて、家族に「迎えに来て」と連絡したのですが、反応がなくて。

 1人で家に帰ったらみんな寝ていました。「え、どういうこと……?」とは思ったんですけど、そんな家族なんです(笑)。優しいのか冷たいのか、よくわからないですよね。