「ママ、ひどいこと言ってごめんね」
——熊本城マラソンの後、ご家族の反応はいかがでしたか?
横田 娘たちとは昔みたいにすごく仲良くなりましたね。次女は「ママ、あの時はひどいこと言ってごめんね」と謝ってくれて。
「実は、(母のことで)いじめられるんじゃないかとずっと不安だった」と、泣きながら話してくれました。娘も私と同じように戦っていたんだなと思い、「ありがとね」とお礼を言いました。
私が外出の準備をしているとき、旦那が「スカートの下から義足見えてるよ」と言うと、子どもたちが「ママは人目なんて気にしなくていい」と怒るようになりました。子どもたちの意識は大きく変わったと思います。
義足で走れるのは、ある意味「才能」
——熊本城マラソン出場後、2022年12月には2人の娘さんと一緒にホノルルマラソンにも参加されたそうですね。
横田 ホノルルは7歳からフルマラソンに参加できるんです。国内ではそういう大会がなかなかないので、どうしても42キロを完走したくて、時間無制限のホノルルに行こうと決めました。
クラウドファンディングで「私と娘たちの3人でゴールしたい!」と呼びかけたら、ありがたいことにお金が集まりました。娘たちは何が何だかわからないまま、ハワイに行けるから参加したのかもしれないけど(笑)。3人で無事にゴールできて本当に嬉しかったです。
——その後、2024年2月には3度目の正直で熊本城マラソンを完走。2025年3月の東京マラソンでも完走されました。
横田 1カ月くらい(練習を)休むと、いつも3キロで苦しくなります。今も練習は嫌いなんですけど、それでもマラソンを続けているのは、才能はあると思っているからです。
おこがましいかもしれないけど、両脚がなくても義足で走れるのは、ある意味才能だと思ってるんです。だから、走ることは嫌いでもマラソンは続けなきゃ、と勝手に思っています。
もし他に夢中になれるものが見つかったら、また違うチャレンジをするかもしれませんが、今は自分にできることを一生懸命やっていて、とても充実しています。
撮影=細田忠/文藝春秋
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