人気餃子チェーンを脱サラ→赤の他人の店の2代目に...大阪・恵美須町「中華料理　一楽」は“脱サラ”店主（41）と若女将（29）が切り盛りしていた

550円で味わえるシンプルなラーメン

「安いですね（笑）。50円ぐらいは上げたいかなあという感じですけどね。でも、（値段を上げてしまうと、お客さんが）離れてしまうんちゃうかっていう。この辺はいわゆる年金暮らしのおじいちゃんとか、生活保護になってる人もいはるんで。先代も、ずっと価格をそのまま維持してたわけやし。まあ、安い食い物じゃなくなってきましたね、もうね」

　たしかに飲食店にはつらい時代である。が、この味なら、少しばかり値が上がったとしても離れる人は少なそうに思える。そういう意味では、逆に値段を上げるチャンスかも……というのは無責任な素人考えだろうか。

「まあ、お客さんからも『もうさすがに上げなあかんで』っていう声が出てますし、理解はしてもらいやすいタイミングかなあとは思います。かといってすぐ上げたら、どう思われるだろうって、そのへんの葛藤もあり」

「歳が離れてるんでね、あんまりもめることもないですね」

　私だけでなく大阪の友人も気に入ったようで、気がつけばふたりで1時間半も居座ってしまった。申し訳ない話だが、それほど居心地がよかったのだ。

　最後に、ご夫婦での写真を撮らせていただいた。ありきたりな表現かもしれないが、絵に描いたようなおしどり夫婦である。

「歳が離れてるんでね、あんまりもめることもないですね。ひとまわり違うんですよ。干支は一緒ですね。だから、嫁さんが29」

　お若そうだなとは思っていたが、まさか20代だったとは。ご主人をさりげなくサポートできる、すてきな方である。

「まあ、そうですね。ほんとに。いきなり、独立するっていったら普通反対するんですけど、だいたい」

　このまま何十年も過ぎ、歳を重ねていったら、どんな感じになるのだろう、などと、余計なことまで考えてしまった。

「ああ、じいちゃんばあちゃんになったとき？ ほんまですか（笑）。介護されてます、僕（笑）」

撮影=印南敦史

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。

次のページ 写真ページはこちら