4歳の息子に両親は「お前は変態やッ!」とブチギレた

――ROLLYさんといえば、ファッションやメイクが特徴的です。これはいつごろから始められたんですか。

ROLLY 3~4歳のころ、店にいた女性店員さんたちが読んでいた外国の映画雑誌のなかにマレーネ・ディートリヒという女優が主演の『上海特急』っていう映画の特集があったのがまずきっかけですね。ものすごいつけまつげを付けて、ばっちりメイクをした妖艶な写真を見て、幼心に「なんて素敵なのだ!」と感動しました。

 それで、姉たちと住み込みの店員さんが家にいない間に、思い立ってメイクしてみたんです。もちろんあまり上手くはできなかったけれど、ブラジャーとショーツもたんすから引っ張り出して身に着けると、鏡に映った自分を見て雷に打たれたような衝撃を受けましてね。

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 それはもう空間が「グニャッ」てゆがむような、サイケデリックな気持ちになったんです。一種の変態趣味といわれるかもしれませんが、僕にはそれが素晴らしい世界に見えた。ところが、その恥ずかしい姿を「婆や」に見られてしまったのです。

――「婆や」がいるほど立派なご実家だったんですね。

ROLLY 祖父母が近所で旅館も経営していたし、そこには日本庭園もあった。ここら辺の街では立派な一族だったんでしょうね。そんな家で乳母として僕を育ててくれた婆やは、僕の女装している姿を見てびっくりしたんでしょう。ドラマみたいに「奥さま~っ!」と叫んで、母に告げ口をしにいきましたよ。

 その後、家族会議にかけられて「こんなけがれたことは絶対にしてはいけない!」とか「跡取り息子なのに、お前は変態やッ!」とか散々叱られました。3~4歳の子どもがですよ(笑)。

3~4歳の時に女装している姿を見られると、正座させられ、親から「お前は変態やッ!」などこっぴどく叱られた ©文藝春秋/橋本篤

――ROLLYさんにとって女装は美意識の目覚めだったが、ご両親の理解は得られなかった。

ROLLY そうですね。家族からは「兄は明るくて賢くていい子だったのに、一雄は変態で……」とよく言われました。店を継ぐであろう兄が早くに亡くなって、姉2人を挟んでようやく待ちに待った跡取り息子として僕が生まれた。にもかかわらず、ああいうことをしたので親も相当ショックだったのだと思います。

――ご両親との思い出で、他に印象に残っていることはありますか。

ROLLY 実家がやっている電器店には裏に扉があって、そこから出た道の奥に父の“別宅”がありました。