ある番組の出演者たちが数年ぶりに集結するといったいわゆる「同窓会」的な企画はよくある。だけど、よくあるだけに段々とありがたみがなくなっていくことも少なくない。そんな中で、「ものまね四天王」が26年ぶりに集結した『梅沢富美男のズバッと聞きます!』は、懐かしさに加えて、ゾクゾクするような顔合わせで刺激的だった。「ものまね四天王」といえば80年代後半から90年代初頭の頃が全盛期。淡谷のり子に嫌われながらも下品でバカバカしいネタをやり続けた清水アキラには腹を抱えて笑ったし、洋楽の入り口はビジーフォーのものまねだったし、いつも過剰なデフォルメでやりたい放題なコロッケが優勝して泣いた時には驚いたりもした。その中で、ちょっとスタイリッシュなクリカンこと栗田貫一が好きだった。
けれど、92年を最後に彼らが揃うことがなくなった。「ものまね四天王」擁するフジテレビの『ものまね王座決定戦』は、毎回のように視聴率30%を超えるオバケ番組。そこからコロッケが熾烈な視聴率争いをしていた日本テレビに“移籍”する形で番組を降板するのだ。その後しばらくは、どちらかの番組に出ていると、もう一方の番組には出られないという不文律が出来たと言われている。当然のように「不仲説」が囁かれ出した。
番組スタッフから不仲説を直撃されるとコロッケは「みんながいる時に聞いてもらったほうがいい」と提案。結果、四天王の5人が揃うことになったのだ。扉が開き、他の4人が出てきた画(え)がスゴかった。年輪が刻まれた顔は、ど迫力。怖さすら感じた。
この手の「不仲説」に対しては“不仲コント”を挟みつつ「こんなことができるくらい、本当は仲いいですよ」とやるのが定番。実際、この日も開口一番、グッチ裕三が「いまもとっても不愉快です」と言って笑わせたりしていた。だが、クリカンが「コロッケは嫌なところがある」と言えば、グッチが「コロッケから同じことを聞いたぜ。クリカンはデリカシーがないって」と返すと、すかさずクリカンが「モラルのないお前には言われたくない」と険しい顔で言う、といった笑いを絡めつつも、ギリギリの線でエグるような言葉が放たれる。互いに実力を認め合いながらも、どうしても認められない部分もあるといった、長く戦ってきたからこその愛憎半ばな感情がにじみ出ていた。そんな割り切れない部分にこそ魅了されるのだ。
▼『梅沢富美男のズバッと聞きます!』
フジテレビ 水 22:00~22:54
http://www.fujitv.co.jp/umezuba/