市境を越えると、ガラリと風景が変わり…
実は唐木田駅は多摩市の南西の端っこで、北は八王子市、南は町田市に挟まれている。少し歩けばどちらも隣町、といった具合だ。
八王子側はまだまだ南大沢や堀之内などの多摩ニュータウンが続いているが、町田側は事情が違う。まるで昔ながらの多摩丘陵がそのままに残っているような風景が広がっているのだ。
大妻女子の裏手あたりはもうよく整備されたニュータウン内の街路からは離れた雑木林の小高い山になっている。
雑木林の中を歩ける散策路なども用意されている。真夏に歩くにはややふさわしくないような、アップダウンが激しく虫さんもブンブン飛んでいるような、そういう道だ。
その合間、唐木田駅のまっすぐ南からさらに南に抜ける一本道がある。東にも西にも小高い山があって、その谷間を南に向かう道。この道沿いを眺めると、小さな平地部に田畑があって、住宅のような建物は点々と。
一本道が立派な舗装道路であることを除けば、まるで昔の多摩丘陵そのものの風景だ。
多摩の原風景を伝える“ニュータウンの先輩”
多摩丘陵がニュータウンに化けたのは1970年前後。だが、半世紀以上前の風景はかろうじてそこに残されていた。といっても、その当時の多摩丘陵、見たことはありませんが……。
そして、そんな多摩丘陵の原風景を伝える雑木林の向こうに見えるのは、実によく手入れがされた緑の芝生。そう、ゴルフ場である。
唐木田駅の近くには、東京国際ゴルフ倶楽部と府中カントリークラブというふたつのゴルフ場がある。どちらも多摩丘陵の自然の地形を活かしたコースが特徴だという。
これらのゴルフ場ができたのは、1960年前後のこと。つまり唐木田駅はもちろんニュータウンよりもゴルフ場が先輩にあたる、というわけだ。




