昔、ワシが担当した事件でこんなことがあった。小学6年生の男の子が駅のトイレで知らない男に声をかけられ、個室に引きずり込まれた挙げ句、性被害に遭った。犯人はすぐに捕まって、その子にもさいわいケガはなかった。しかし、彼は心に深い傷を負い、しばらく学校に行けなくなってしまった。

犯人はトイレの個室に隠れて、ターゲットが来るのを「今か今か」と待っていることもある。そんな危険を回避するためにもぜひ、公衆トイレは子どもひとりで行かせないでほしいんや。

もし、どうしてもひとりで行かざるをえないときは、できるだけ「入口に近い個室」を使わせてほしい。理由は簡単や。奥のほうの個室やと、万が一「助けて!」と叫んでも、外に聞こえにくい。

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それと、「明るくてキレイなトイレ」、清掃員や利用者の出入りがある場所を選ぶことも安全につながる。

エレベーターも要注意

ちなみに元刑事のワシは、普段から「入口から一番奥の小便器」を使っている。用を足すときは誰しも無防備になるが、もし怪しいヤツが入ってきたとしても、片方が壁しかなければ身を守りやすい。これは長年、刑事として鍛えられた警戒心のなせる業やけど、ちょっとした工夫で身を守ることもできるということや。

もうひとつ気をつけてほしいのがエレベーターや。

まずは、たとえ自分の住んでいるマンションでも、知らん人とは極力、一緒に乗り合わせないことや。そして乗る前には、周りに誰か潜んでいないか十分に確認してほしい。犯人はマンションの入口や物陰に隠れて待っていることもあるからや。

エレベーター内では、行き先ボタンの近く、つまり操作ボタンのそばに立って、壁を背にしておくと安心や。犯人はたいてい背後から襲ってくる。少しでも違和感をおぼえたら、すぐにボタンを押して、関係ない階でもすぐに降りる。こんなこともぜひ覚えておいてほしい。

痴漢は社会全体で撲滅すべき犯罪

定年退職後、片道切符で上京して5年が経ったが、いまだ東京の人の多さには驚かされる。満員電車もそのひとつやな。駅には「痴漢は犯罪です」というポスターが貼られとるし、電車通学する子どもを持つ親御さんにとっては、心配のタネやと思う。