警告や禁止命令で改心するヤツもいるが、残念ながらそうでないヤツもいる。警告を無視して接近してくる加害者もおるし、命を狙う行動に走るケースもある。これはワシの持論やが、こういった痛ましい事件を完全になくすには、被害者のボディーガードとして警察が24時間つきっきりで警備をするか、逆に犯人側を監視するしかない。しかし人員も予算も限界があるから、現実的には無理がある。
ストーカーは愛やない。そこにあるのは執着や。被害を未然に防ぐためには、その執着に早く気づくことが、防犯につながる。
●ちょっとしたことで怒鳴る
●束縛が激しい
●LINEの返信が遅いとキレる
●別れ話をすると逆上する
こういう兆候がある相手は、別れたあとにストーカー化する危険が高い。
暴力沙汰になったら迷わず警察へ
もし恋人が手を上げたり暴力沙汰になったりしたら、遠慮せずに警察に相談してほしい。
その際、ポイントはできる限り緊迫感をもって相談することや。「おまわりさん! 命の危険があるんです!」と強く伝えるほうが、警察も迅速に動きやすい。
なにより証拠を集めておくと、その後の警察の対応もスムーズや。
●いつ、どこで、どんなことがあったかをノートに書いておく
●LINEやメールの画面をスクショして残す
●不審な手紙や着信履歴、ボイスメモ、写真や動画を保存しておく
「証拠がないから門前払いされた」いう話も時々聞くが、それは警察の怠慢や。証拠を探すのは本来、警察の仕事や。万が一、相談した警察署でちゃんと対応してくれんかったら、各都道府県警の本部に相談しなおすのもひとつの方法や。
ただちに命の危険がないときには「#9110」という全国共通の警察相談ダイヤルもある。これは最寄りの警察本部の窓口につながる番号だから、覚えておいてな。
通称「リーゼント刑事」。元・徳島県警捜査第一課警部
1979年徳島県警拝命。1984年、23歳で刑事になると、殺人など凶悪犯罪の最前線の捜査第一課と所轄刑事課を中心に31年間刑事として捜査を担当。「おい、小池!」で有名な殺人指名手配事件に長らく携わった。警察人生42年、2021年3月に定年退職し、現在は犯罪コメンテーターとしてメディア出演やYouTube配信、講演会活動を精力的に行っている。
