当然だが、痴漢は100%加害者が悪い。よく「短いスカートを穿いていたから」と眉をひそめる大人もいるが、それは筋違いや。親としては、心配で服装に口出ししたくなる気持ちもわかるが、どんなことがあっても痴漢をしていい理由にはならない。被害者の服装を責めるのは、加害者側の責任転嫁や。
痴漢は「イヤ!」と言えなそうなターゲットを狙ってくる。体を触るだけやない。カバンを押しつける、匂いをかぐ、最近ではAirDropでわいせつな画像を送りつけるなど「見えにくい痴漢」も増えている。
こうした行為は、各都道府県の迷惑防止条例違反、もしくは不同意わいせつ罪(刑法第176条)で処罰される。
どちらの犯罪になるかは、手口の悪質性によって判断されるが、服の上から胸を触るケースなら不同意わいせつ罪、お尻を触るケースなら条例違反になることが多い。条例違反のほうが刑法よりも罰則は軽いが、被害者の心の傷に「軽い・重い」はない。
アプリも防犯に活用
満員電車で痴漢に遭ったとしても「やめて!」と大声を出せん人が大半や。恐怖や驚き、恥ずかしさなどから、体が動かなくなってしまうこともある。けれど、痴漢被害を未然に防げる対策もあるからぜひ覚えておいてほしい。
●防犯ブザーや「痴漢は犯罪です」と書かれたバッジをカバンにつける
●痴漢対策アプリをスマホに入れて、すぐ開けるようにしておく
●混雑する車両を避け、人の目が届く場所に立つ
●不審な動きがあれば、犯人に視線を向ける
なかでも警視庁の防犯アプリ「デジポリス」はようできとる。「痴漢撃退機能」には「痴漢です、助けてください」という画面で助けを求めることができるんや。タップすれば「やめてください!」と音声も鳴らせる。もちろん無料や。
たとえ小さなアクションでも、周囲に異変を知らせるサインになる。
●スマホを鳴らす
●カバンを持ち替える
●しゃがむ、物を落とす
●非常通報ボタンを押す
ただしこういった行動ができなくても自分を責めないでほしい。なにより痴漢は、社会全体で撲滅すべき犯罪や。痴漢は被害者だけが自衛すれば、解決する問題やない。大事なのは、周りの大人たちの存在や。「大丈夫ですか?」とひと声かけるだけで、9割以上の痴漢がその場でやめたという調査もある(東京都「令和5年痴漢被害実態把握調査報告書」より)。