もし自分の子どもが被害に遭ったら「よく話してくれたね」と言ってほしい。それからよくお子さんの話にじっくり耳を傾けてほしいんや。
そして、場合によってはぜひ警察にも相談してほしい。各警察署の生活安全課では、痴漢被害の相談を受け付けておる。なにより大人たちの「絶対に痴漢は許さん!」という姿勢こそが、子どもたちを守る最大の盾になるんや。
命に関わる事件にまで発展する「ストーカー」
2025年4月、神奈川県川崎市の民家で若い女性の遺体が発見された。
被害者の女性は生前、この家に住む元交際相手から暴力やストーカー被害を受けていたという。事件の全貌はまだ明らかになっていないが、警察の対応も含めて社会の注目を大きく集めている。
ストーカー行為は、恋愛感情のもつれや恨みなどから起こる。「LINEがしつこい」「駅で待ち伏せされる」といった行為がエスカレートして、最後には命に関わる事件にまで発展することもあるんや。
昭和の頃から、ストーカーによる殺人事件はあった。ワシも現職のときは、ストーカーによる滅多刺し殺人現場の検証官として現場を見てきた。また刑事課長の頃は、車で逃亡するストーカー犯をヘリコプターで追い回して逮捕したこともある。ストーカーをヘリで追い回したのはワシくらいやな。
それでもいまだにストーカー問題は「永遠の難題」やと感じる。たとえば、「殺すぞ」と脅したら脅迫罪(刑法第222条)、「勝手に家に入ったら」住居侵入罪(第130条)、「ドアを蹴ったりしたら」器物損壊罪(第261条)……。
これらは刑法に触れる行為だから警察はすぐに動ける。けれど「家の前で待ち伏せる」のは、かつては刑法では取り締まれんかった。刑法の罪に抵触しなかったんや。
ストーカー化する兆候とは
そこで2000年にできたのが特別法の「ストーカー規制法」や。前年に起きた桶川ストーカー殺人事件が契機となっている。この法律のおかげで警察は警告や禁止命令を出せるようになった。