「もぎもぎコール」が流れた打席と流れていない打席の差を比較してみた

【疑問(2):「もぎもぎコール」は茂木栄五郎の背中を後押しできているのか?】

 いよいよ本題。「もぎもぎコール」は茂木の背中を押しているのか。コールが流れた打席と流れていない打席の差を比較してみた。

コールが流れた打席の最終打席結果  :.221(113-25) 2本  4打点
コールが流れてない打席の最終打席結果:.355(31-11)  3本 12打点

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 なんということだろう。流れてない打席の方が、圧倒的に成績が良かったのである。パソコンを前に崩れ落ちそうになった。“ブラック栄五郎”が言っていた通り、「あんまり……」なのだろうか。

 しかし、よく考えてみたい。コールが流れなかった打席の多くは、チャンステーマが流れている場面である。相手投手はあっぷあっぷである可能性があり、それではバイアスがかかっているのではないか。どうにか「もぎもぎコール」の力を立証できないものだろうか。

 ならば、コールが流れている間だけにフォーカスすべきではないか。真の力は「もぎもぎコール」が流れている間にこそ、発揮されるのではないか。

 捲土重来。今季のスワローズよろしく、ここで諦めきれない私は、改めて「もぎもぎコール」が流れている間のみにフォーカスし直してみることにした。気合いを込めて、再び茂木の打席に向き合い直した。

「もぎっ! もぎっ! 茂木栄五郎!」の真の力とは

 もぎもぎコールが流れている間“のみ”の打席結果を見直すと、こんな結果が得られた。

【「もぎもぎコール」中の茂木の打席結果】

ストライク※ 58球
ファール   37球
ボール    71球
その他    ヒット11本
       凡打 16本
※三振によるアウトも含む

 なんと、ボール球が投じられるケースが特に多かったのだ。これは力のこもった「もぎもぎコール」が相手投手に“圧”を与えたと言えないだろうか。となれば、我々の叫びは茂木の打席を有利にする点において、少なくともお邪魔ではないのかもしれない。

 また、茂木が「もぎもぎコール」発動中に打ったヒットは11本もあり、そのうち6本が、2回目の「もぎ!」終わり、つまり、「もぎ! もぎ!」直後に出ていた。

「もぎもぎコール」が相手投手に自然と「も」でリリースさせ、茂木に気持ちよく「ぎ」でヒットを打たせているのかもしれない。これからも気を抜かず、序盤の「もぎ!」から大きな声で応援することを怠らないようにしたいものである。

 茂木は応援歌をいじった際、必ず「でも、名前を覚えていただけるいい応援だと思います」というファン想いなコメントで締めている。

 名前を覚えるどころか、可能な限りそのお名前を叫ばせていただきたい活躍を続ける茂木栄五郎。もし規定打席に立てば、ペース的には2869回ほどの「もぎもぎコール」が発動することになるはずだったが、その後左膝の怪我で無念の長期離脱となってしまった。

 勝利に向かって鍛え上げたフルスイングが帰ってきた日にはきっと、歓喜待ちわびる燕党を、栄えある未来へ導いてくれるはずだ。その時はとびきり大きな声で叫びたい。

「もぎっ! もぎっ! 茂木栄五郎!」

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