夏場にインパクトを作らなくてはいけないという課題を持って、2人は1年間かけて検討を続けた。
夏に限定メニューで出していた「冷やしオマール海老ラーメン」が好評で、これを軸に夏を乗り切れないかと考えた。そこで思いついたのが、夏場だけ「冷やしラーメン専門店」にしてしまうというアイデアだ。
「夏に冷やしラーメンの限定を出すというのは、どの店でもやっていることだと思います。
そこでインパクトを作るためには、3種類の冷やしラーメンを作ってその時期だけ専門店にしてしまうぐらいの思い切りが必要だと思ったんです。こうして冷やし専門にすれば、冷たいものが食べたいときにパッと当店を思い出していただけるかなと」(源己さん)
2人は1年間かけて冷やしのメニューを開発し、「冷やしオマール海老ラーメン」「あさりとハラペーニョの冷やしラーメン」「冷やし牡蠣ラーメン」の3種類が完成した。そして、7~8月は冷やしラーメン専門店として営業することを、早めに店の外に貼り出して地域の人たちに認知させるようにした。こうして2024年の夏の売り上げを回復させたのである。
「わかりやすさ」がないと客の心はつかめない
「結果、1年を通して1日当たりの来客数が一番多い期間になりました。冷やしも3種類すべて食べてくれるお客さんが結構いて、いつもの常連さんのほかに冷やしのお客さんもついてくれるようになりました。
もしだめなら元に戻せばいいかと思って始めましたが、夏の『ビスク』=冷やしと定着してくれて良かったです。今年も春から『冷やしはいつから?』と聞かれて嬉しかったですね」(源己さん)
こうして1年間安定して売れるようになり、2人の心配事は減っていった。
2人が大事にしていることは「わかりやすさ」である。ラーメンの味や見た目はもちろん、「冷やし専門店」の訴求や告知、すべてに至るまでわかりやすくないとお客さんはなかなか来てくれないと考えている。
「見た目の美しさも味のうち。盛り付けがきれいであることは絶対条件だと思っています。SNSにあげてくださる方も多いので、写真の映えなども当然気にしました。盛り付けにもかなりこだわっています。