金品奪取後、Aさんは生きたまま海中に遺棄された

 当初、Aさん一家が姿を消したことに気付いた祖父が警察に通報。捜査員が臨場した際に、洗面所入口にあるガラス引き戸の破損が発見されていた。その原因が明らかになる。

〈被告人が蹴りつけたことにより、Aが暗証番号を言ったことから、被告人は、キャッシュカードにボールペンでその番号を記載して楊寧に渡した。
 

 被告人、王亮及び楊寧の3名は、奪ったキャッシュカードの暗証番号を聞き出すことなどができ、金品強取の目的を達したと考え、AとDを殺害し、その死体を遺棄するのみとなったので、被告人及び楊寧が、とりあえず、Aを緊縛することとした。

 

 被告人は、1階階段下廊下に置かれていた電気掃除機のコードをA方の包丁で切断し、そのコードをAの上半身、上腕部、両手首に巻き付けて縛り上げ、透明粘着テープを口唇部から後頭部にかけて幾重にも巻き付けて口唇部をふさぎ、さらに、Aを玄関上がり口まで移動させた上、A方にあったネクタイで同人の両膝を、同じく革製のベルトで同人の足首をそれぞれ緊縛するなどした上、同人をうつ伏せにしてその頸部にネクタイ様のものを巻き付け、その両端を被告人と楊寧がそれぞれ強く引き合って同人の頸部を締め付けるなどし、同人を窒息死させようとしたが、ひん死の状態となっただけで、その場で死亡させるに至らなかった。〉

中国で死刑執行された楊寧の実家

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 このことはAさんの死体検案書にも書かれているが、緊縛されていた彼は、生きたまま海中に遺棄されたことで溺死している。

〈6 Dの殺害状況

 そのころ、王亮は、1階居間において、Dを膝の上に横向きに抱きかかえてソファに座り、Aの頸部を絞め終わった楊寧がその脇に立ち、同児の頸部に巻き付けたネクタイ様のものの両端を王亮と楊寧がそれぞれ強く引き合って同児の頸部を締め付けて殺害した。〉
 

 こうして一家4人を殺害(※うちAさんのみひん死の状態)した3人は、続いて遺体を遺棄するための作業に取りかかる。