それよりも、一刻も早く妻と離婚する方が金銭的なメリットが大きいと伝えて、Aさんから離婚の依頼を受けることになりました。
妻に連絡して、別居をしたので今後は適正な生活費(婚姻費用と言います)を渡すこと、長女はAさんが面倒を見ていることを伝えましたが、返事はありません。
妻からはAさんに「お金が足りないから振り込んで」という催促のLINEがたびたび来ましたが、Aさんに自分では対応しないようにと言うと、やがてその催促もやみました。もちろん代理人であるこちらには連絡がありません。
収入から計算した生活費を振り込むようにすると、それだけでAさんの家庭の出費はかなり抑えられるようになりました。
相変わらず妻からは返事がないので、しばらくして離婚調停を申し立てましたが、やはり妻は出席しません。裁判所から呼び出してもらっても、期日に姿を見せません。
次は裁判をすることも検討し始めたところ、妻から事務所に郵便物が届きました。妻が署名と押印を済ませた離婚届でした。
財産分与もないので、Aさんとしては負債の請求もしないという方針で、離婚に応じることにしました。
離婚後も実家の玄関先に段ボールの山
Aさんの両親から妻の両親に聞いてもらったところ、妻はAさんと長女が実家に帰ってほどなく、自分も実家に帰ったようでした。
Aさんは住んでいたマンションに一度戻り、数カ月かけて大量の段ボールを片付けました。
離婚後もたびたび長女を妻の実家に連れていって、祖父母には会わせていますが、妻は気まずいのか顔を見せません。ただ、祖父母のお金で浪費を続けているのか、ある時玄関先に段ボールがまた積んであるのが見えて、Aさんは段ボールが部屋を埋め尽くしていたあの光景を思い出してヒヤリとしました。
「貯蓄できない」「片付けられない」の背景に買い物依存症
こうしてAさんは離婚することができました。
冒頭にも書いた通り、「買い物依存症」「浪費癖」と聞くと、派手に散財して暮らしている様子が思い浮かぶ人が多いと思います。