2025年7月18日(金)より東京渋谷のBEAMギャラリーで開催される「恐怖心」に関する展覧会『恐怖心展』。東京・名古屋で10万人の来場者を記録した『行方不明展』を手がけたホラー作家の梨と株式会社闇、テレビ東京プロデューサーの大森時生が再び結集し、観客を新たな不思議体験に誘う、真夏にぴったりの展覧会です。しかし恐怖心を扱う展覧会とはどんなものなのか? 展覧会のメインスタッフの一人で、デビュー以来、独自の恐怖表現にこだわってきた梨さんにの舞台裏や見どころをうかがいました。
あらゆるフォビア(恐怖症)を追体験できる展示
――大きな話題を呼んだ『行方不明展』に続いて梨さんと株式会社闇さん、大森時生さんがこの夏新たに手がける『恐怖心展』。恐怖心に関する展示というアイデアは、どのように生まれたのでしょうか。
恐怖心を扱いたいというのは、実は『行方不明展』より前にあったんです。あらゆるフォビア(恐怖症)を追体験できるような展示ができたら面白いよね、という話は打ち合わせで以前から出ていて。『行方不明展』が終わって、次何をやりましょうかという話になった時に、あらためて恐怖心というテーマが浮かんできました。
ホラー関係者と話していて感じるのは、何らかのフォビアを持っている人が多いんですよ。今回もご一緒している株式会社闇の頓花聖太郎さんは、閉所が怖くてバスに乗れないと公言しています。それが創作意欲と密接に結びついていることもありますし、ホラーを仕事とする人間にとって、恐怖心は気になるテーマだったんです。
――「恐怖」展ではなく「恐怖心」展であるというところにもこだわりが感じられますが。
そこは大事な違いです。今回の展示では恐怖と恐怖心をはっきり区別しているんです。どう違うかというと恐怖は「点」、そして恐怖心はその前後の感情です。たとえば注射の針が刺さる瞬間は怖い、でもそれは一瞬で過ぎ去りますよね。それよりも注射を待っている間の方が怖くないですか。痛いだろうな、血が出たらどうしよう、と予期不安で心がいっぱいになる。その感じを私たちは恐怖心と呼んでいます。

