4分間、ただ相手の目を見つめる特殊なワークショップ
菊池 撮影の約1カ月前に行なった、ただ4分間、相手の目を見るという特殊なワークショップも、役作りや3人の関係性を深めるのに有効でした。
言葉を交わさずに見つめ合うことで共通認識が生まれ、親密な関係性ができたと思います。結局、お芝居って相手との掛け合いなので、ワークショップを通して相手に安心して委ねられる信頼感が得られたのは、すごくよかったと思います。
川床 現場に新しいキャストが入られるタイミングでもこのワークショップはやったよね。4分間は結構長いので、最初は恥ずかしかったのですが、目を見つめ合ったことで、根底でしっかりつながれたような、そんな感覚が生まれました。
小野 私はあのワークショップは、「今ここ」にいることを実感するための4分間でもあった気がします。作品の性質上、撮影中以外は3人で話をすることもほとんどありませんでしたが、目を見つめた時間が信頼と安心感につながったと思っています。
──幼なじみの3人の関係性をどのように構築していきましたか?
菊池 3人は同郷の幼なじみですが、同志のような存在でもあります。お国のために女性がどうあるべきかという時代の風潮の中で、赤十字看護師としての務めみたいなものを切磋琢磨しながら育んでいく。そんな関係性を、常に意識していました。
川床 私は最初に撮影した、3人でグリコをするシーンで、2人に対する信頼が絶対的になったので、それ以降は安心して2人に委ねていました。
小野 遠慮せず相手に言う、伝えることを心がけていました。3人は幼なじみですが、それぞれ性格も信じているものも違います。それゆえに、喧嘩をしたり、言い合ったりもしますが、そういうことができるのも幼なじみの仲だからなんだと思います。
