1945年、原爆投下直後の長崎で、人々の命を救おうと奔走した日本赤十字社の看護師たちの手記をもとに映画化した『長崎―閃光の影で―』。空襲による休校を機に帰郷した幼なじみの看護学生田中スミ(菊池日菜子)、大野アツ子(小野花梨)、岩永ミサヲ(川床明日香)が体験した原爆投下。看護学生として負傷者の救護に奔走する1カ月が描かれている。10代で凄惨な被爆現場に立ち向かい、命に向き合い続けた看護学生を演じた3人に、撮影中のエピソードから戦争への思いを聞いた。(全2回の2回目/最初から読む)
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3人が自然と同じ思いで撮影に向き合っていた
──3人が共演されるのは本作が初めてですか?
菊池日菜子さん(以下、菊池) あっすー(川床明日香さん)と私は同郷で、もともと会ったこともありましたが、共演するのは初めてでした。
小野(花梨)さんはアカデミー賞の時にお隣を歩いたり、番組でご一緒したりしたことはあったのですが、すごく面白い方という印象があったので、この作品でなかったら、きっと撮影中に他愛もない話ができたんだろうなと思いました。
小野花梨さん(以下、小野) 初めて聞きました。知らなかった……。
川床明日香さん(以下、川床) 確かに、撮影期間中はみんなで他愛もない話をする雰囲気ではなかったです。お互いに緊張感をもって撮影に挑んでいましたが、それでも、どこかで心がつながっている感じは常にあったと思います。
小野 具体的に相談したり、示し合わせたりしたわけではありませんが、自然と同じ目線、同じ思いで現場に向き合っていましたよね。3人の感性が似ていたというか、共鳴する部分が多かったのかもしれません。
菊池 相手への敬意も、もっていましたよね。たとえば、あっすーは私が博多弁で話せる一番身近な存在ですが、この作品においては一種の緊張感と距離感が必要だったので、身近に感じながらも一定の距離感を保ち、お互いをリスペクトしながら作品に携わっていたと思います。

