人類最古の文明の一つであり、三千年もの長きに渡って繁栄をとげた古代エジプト。近年、重要な考古学的発見が相次ぎ、巨大博物館のオープンが年内に予定されていることもあって、熱い注目を集めている。8月19日と20日、2夜連続72分の拡大版で放送されるNHKスペシャル「エジプト悠久の王国」は、番組ナビゲーターに堺雅人さんを迎え、古代エジプトに残された大いなる謎の解明に挑む。(文・番組ディレクター 八木下雄介、全2回の1回目/後編に続く)

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まずは「ギザの三大ピラミッド」へ

 羽田空港から、中東のドーハを経由して、空路エジプトへ。堺雅人さんとわたしたちNHKの撮影スタッフは、20時間の長旅の末に、カイロ国際空港に降り立った。そこからさらに車を走らせ、幹線道路を1時間ほど行くと、ビルの間から、あの巨大遺跡が姿をあらわした。「ギザの三大ピラミッド」だ。今から4500年前、古代エジプトを支配したファラオ・クフ王と、その息子カフラー王、孫のメンカウラー王が、親子三代にわたって建造した。

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街中から見えるギザの三大ピラミッド ©NHK

「うわー! 見えてきた!」

 車窓から見える景色に、思わず一同が歓声をあげた。近年再開発が進み、新たなビルが建ち並ぶギザの街の中でも、ピラミッドの巨大さは群を抜いている。クフ王の大ピラミッドは高さ147メートル。「なんでこんなに高いんだろう?」。これまで何度も撮影で訪ねてきたが、いつ来てもそう思ってしまう。