『プレデター』シリーズが今、1人の男によって息を吹き返しているのをご存じだろうか。シリーズの前日譚を描き、配信サービス(米・Hulu)の初回視聴数で史上最多を記録した『プレデター:ザ・プレイ』(2022年)の監督、ダン・トラクテンバーグ。彼が次に手掛けたのが『プレデター:最凶頂上決戦』だ(ディズニープラスで配信中)。本作は実写でなく、シリーズ初のCGアニメ作品。果たして生々しい描写や激しいアクションをどれだけ表現できるのか。だが本編が始まると、腸(はらわた)を裂き、首が飛び、血飛沫(ちしぶき)が舞う凄惨なゴア表現の嵐にそんな不安は一瞬で吹き飛ぶ。むしろCGアニメでなければ酷すぎて見てられないほどだ。

 舞台は北欧・中世。父親を無残に殺され、復讐に燃えるバイキングの女戦士の物語だ。ご存じの通り、プレデターはより強い獲物を“狩る”ことを信条とする謎の地球外生命体。復讐を果たした女戦士の部隊に突如、巨体のプレデターが襲いかかり、彼らを皆殺しにし、彼女と一騎打ちに。女戦士は圧倒的な力の差を“知恵”で跳ね返し、見事プレデターを葬り去る。すると今度は、物語の舞台が突然、戦国時代の日本に。兄弟侍の物語が展開し、兄は忍者プレデターを打ち倒す。さらには、第二次世界大戦中に米国人パイロットがプレデターの乗る宇宙船とドッグファイトを展開し、プレデター機を果敢に撃破するエピソードが続く。

©佐々木健一

 時代や地域は異なるが、いずれも人間ならではの知恵で難敵プレデターを倒した3人の強者(つわもの)。彼らはその後、プレデターが暮らす惑星に連行され、古代ローマの剣闘士のように「命尽きるまで戦え」と命じられる。それが闘いを崇拝する彼らなりの敬意なのだ。

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 プレデターの世界観をとことん突き詰めるダン・トラクテンバーグ監督は次回作『プレデター:バッドランド』(今年11月公開予定)で遂にプレデターを主人公に据えるという。今後も目が離せない。

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