3/3ページ目
この記事を1ページ目から読む
視界に広がった“衝撃の光景”
「辺りに敵艦隊の姿は見えませんでした。海上に浮かぶのは『時雨』と『最上』だけ。味方の軍艦は、ほぼ撃沈されて海のなかに姿を消していたのです。目の前で戦っていた日本艦隊は、ほぼ全滅してしまっていたのです」
「最上」と衝突した「那智」は艦首を損傷し、レイテ湾への突入を中止し、戦場の海域から退避していた。「最上」とともに生き残った駆逐艦「時雨」は、ミッドウェー海戦、マリアナ沖海戦など幾多の海戦を生き抜き、生還してきたことから、米国の海事史研究の歴史家、サミュエル・モリソンが「不沈艦」と命名した強運の駆逐艦だった。
その「時雨」は、まだ「最上」とともに海上にいるではないか。加藤は心を落ち着かせようとしたが、「那智」との衝突の損傷は大きく、「最上」は海上で動けず、立往生していた。だが、生き残った乗組員たちの懸命な復旧作業で、操舵装置がようやく復旧した。
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。


