各界の名だたる人物を輩出してきた私立小学校・慶應義塾幼稚舎。小学校受験の最難関とも言われる幼稚舎には、どのような児童が通っているのか。
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私立小学校の中では人気ナンバー1
東京・広尾の天現寺橋。ペンマークがあしらわれた制服を身にまとった児童たちが、緑に囲まれた校舎へと吸い込まれていく。
慶應義塾幼稚舎。1874年、福澤諭吉の門下生だった和田義郎が、年少の塾生の教育を嘱託されて設立した、日本最古の私立小学校である。
岩崎久弥(三菱財閥三代目総帥)、服部禮次郎(セイコー元会長)、武藤絲治(鐘紡元社長)、福原義春(資生堂元会長)、岡本太郎(芸術家)、藤山一郎(歌手)、千住真理子(ヴァイオリニスト)、福澤武(三菱地所元会長、福澤諭吉の曾孫)、福澤克雄(TVプロデューサー、福澤諭吉の玄孫)など、各界の名だたる人物を輩出してきた。その圧倒的なブランド力は、まったく衰えを見せていない。
「私立小学校のなかで人気ナンバー1の学校で、最難関中の最難関」
こう話すのは、幼稚舎合格者を数多く出すことで人気の幼児教室を経営する石井至氏だ。
「男子96名、女子48名の募集定員に対して、毎年、男女それぞれ10倍近い子どもたちが受験します」
しかも幼稚舎は、慶應義塾全体のなかでも特別な存在だ(表参照)。慶應義塾大学が毎年6500人程度の卒業生を出すなかで、幼稚舎の定員は1学年で144名。単純計算すれば、幼稚舎出身は慶應大出身の2.2%にすぎない。定員が男子の半分の女子には、さらに「狭き門」で、「幼稚舎の女の子はめちゃめちゃ優秀だった」と、幼稚舎出身50代男性のAさんは振り返る。
これほどの難関校にもかかわらず、意外なのはその“実態”だ。
