「世間的には、都会的なセレブの子で、エリートでひ弱だと思われていますが、イメージとは違って、幼稚舎の教育方針も幼稚舎に通う子供自身も、完全に『体育会系』です」と石井氏は評する。

「ペーパー試験がないので、男子も女子も心や体が強い子が入る。とくに少人数の女子は、ものすごく気が強い子しかいませんでした」

 こう話すのは、幼稚舎出身で自身の息子と娘も幼稚舎に入学させた50代女性のBさんだ。その教育内容については、「運動ばかりで、勉強は何もしませんでした」(同前)という。

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慶應義塾大学に到るまでの内部進学ルートを図解した。単純計算すると、慶應義塾大学OBのうち幼稚舎出身は2.2%の“特別な存在” ©文藝春秋

運動ばかりで勉強はしない

 実はこれこそ、福澤諭吉の教育方針だった。

「『福翁自伝』で説いた『先(ま)ず獣身(じゅうしん)を成(な)して後に人心(じんしん)を養う』が幼稚舎教育の原点。学ぶことの大前提として、まずは身体づくりが一番大切だということです」(石井氏)

 しかしその結果、“最難関校”にもかかわらず、「九九もままならない状態で卒業する子もいる」(石井氏)という噂も囁かれる。Bさんに確認してみると、「同級生にそんな子は見当たりませんでしたが、学校任せにして家庭で勉強しなければ、分数や九九ができないまま卒業してしまう子も出てくるでしょう」。

 Bさんによれば、自身の在学時と子供の在学時には30年近くの開きがあるが、「教育方針はまったく変わっていない」という。

※本記事の全文(約6700字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(塾の核心・幼稚舎は謎だらけ)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。

運動ばかりで勉強はしない
・担任もクラスも同じ6年間
・「クラス分け」をめぐる伝説
・裏口入学や縁故入学は?
・金子改革と横浜初等部
・どこから入るのが得なのか?
・他者と比較しない

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