生涯の師と友を得た 松竹・迫本淳一会長インタビュー

慶應義塾の人脈と金脈 6

迫本 淳一 松竹代表取締役会長
ライフ 働き方 教育

 松竹代表取締役会長の迫本淳一氏(70)は、弁護士資格をもつ異色の経営者。幼稚舎、普通部、塾高を経て慶應義塾大学に進学し、経済学部を卒業した後、学士入学で法学部に入り、計18年を慶應で過ごした。現在は、慶應義塾の評議員と連合三田会の副会長を務めている。

迫本淳一氏 ©文藝春秋

 こう言うと語弊があるかもしれませんが、普段、慶應出身であることはそれほど意識していません。「慶應出身だから」というだけで群れるのも性に合いません。学閥主義は嫌いで、社内でも社員がどの大学の出身かは気にしません。ビジネスで慶應人脈に意識的に頼ろうとしたこともありません。

 ただ自分の半生を振り返ってみると、「本当に慶應に世話になってきたんだな」と思います。

 私には人生の恩師が親父以外に4人いますが、皆、慶應の先生です。幼稚舎の高橋元夫先生と鍬守篤麿先生、普通部の斎藤芳雄先生、塾高の田中明先生です。この4人の先生なくして今日の自分はありません。

 幼稚舎から大学までずっと慶應で、気づいたら義塾にいた、という感じでした。両親とも国立大学の受験に失敗していて、「息子には受験の苦労をさせたくない」と幼稚舎を受験させられたんです。ちなみに20代後半で働きながら司法試験の勉強を始めたときには――合格まで10年近くもかかりました――「受験を避けるために幼稚舎から慶應に入れたのに、私の教育は失敗だった!」と母親に泣かれてしまいました(苦笑)。

 幼稚舎ではK組、担任は高橋先生。運動ばかりの毎日でした。担任、クラスとも卒業まで変わらないので、通常の小学校より関係が密になります。仲間との絆は特別なものになり、もはや親戚のような存在です。つながりが卒業後も続いて、高橋先生が亡くなるまで、正月には毎年欠かさず皆でご自宅に伺っていました。まさに「一生の付き合い」です。

「世界に出ていきなさい」

 大学を卒業したばかりで若かった新任の高橋先生は、情熱に溢れていました。「自分は高橋先生に育てられたんだ」と、いまも感謝しています。

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source : 文藝春秋 2023年11月号

genre : ライフ 働き方 教育