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「慶應幼稚舎の謎」を取材したら全くイメージと違いました

編集部日記 vol.18

電子版ORIGINAL

ライフ 教育

 38ページにわたって組まれた「文藝春秋」11月号の特集〈慶應義塾の人脈と金脈〉では、私学最難関校であり、圧倒的なブランド力を持つ小学校・慶應義塾幼稚舎についても取り上げています。

 幼稚舎を巡っては、様々な噂がまことしやかに囁かれています。

 たとえば、華々しい卒業生が輩出される背景には、縁故入学や裏口入学が存在する。

 クラスは親の職業によってK、E、I、Oの4つに振り分けられ、K組にはお金持ちの子が、O組は医者の息子が入学する。

 勉強を教えない教育方針ゆえ、九九もままならない状態で卒業する子もいる……。

 真相については本記事に譲りますが、そんな噂の数々を解き明かすべく卒業生の方々に話を聞いていくなかで、印象的だったエピソードをご紹介します。幼稚舎出身の50代男性であるAさんに「幼稚舎に入学する子どもには、どんな共通点があると思いますか」と尋ねたときのことです。

慶應義塾幼稚舎 ©文藝春秋

「男の子は元気な子が入学しますが、基本的にはサルみたいなもんですよ(笑)。女の子はめちゃくちゃ強くて、優秀です。運動ができるし、勉強もできるし、人間性も優秀。多分、これは誰に聞いても同じことを言うと思いますよ」

 幼稚舎に入学する生徒の男女比は、男子96人に対し女子は48人。マイノリティである女子生徒はさぞかし肩身が狭いだろう……と思いきや、男子はその強さに圧倒されるというのです。そう言われると、幼稚舎で6年間を過ごした女性の意見も聞いてみたい。Aさんに卒業生の女性を紹介していただけないかと尋ねると、「もちろん大丈夫ですよ! どんな人が良いですか?」と快く引き受けてくださいました。

 そこでご紹介いただいた幼稚舎出身の女性Bさんに話を聞くと、「誰に聞いても同じことを言うと思うけど……」と、Aさんとまったく同じ言葉を口にしながら、こう答えてくださいました。

「女子はものすごい強い。幼稚舎は6年間クラスが変わらないから、いつか女子同士で勃発するかもしれないケンカに耐えられるような子が入るんです。学校に来れなくなっちゃうような、メンタルが弱い子は受からない。だから肩身が狭いとか、少人数だとか思ったことは一度もないですね」

 幼稚舎女子、強し! 生まれ育った町に私立小学校がなく、いわゆる「お受験」とは無縁だった私にとって、幼稚舎の女の子は清楚でお上品なイメージ。虫も殺さぬ女の子たちが入学するものだと思っていました。卒業生の皆さんに取材したことで、自分が勝手に抱いていた“幼稚舎観”が変わっていきました。

 さらにBさんは「男の子には、女の子とはまた違った共通点があると思う」と続けます。

「入学する子どもたち――特に男子には、“幼稚舎顔”というのがあるんです」

 Bさんのいう“幼稚舎顔”とは一体何なのか。気になった方は是非本誌をご一読いただき、「幼稚舎の数々の謎」に触れてみてください。

(編集部・大岡)

source : 文藝春秋 電子版オリジナル

genre : ライフ 教育