「ホームレス」「青木ヶ原樹海」「ゴミ屋敷」「事故物件」など、明るい世間から目を背けられてきたミステリーゾーンに潜入して記事を書き、注目を集めてきたライターの村田らむ氏(52)。
多くの単行本を執筆する傍ら、現在はYouTubeチャンネル「村田らむのリアル現場主義!!」でも精力的に活動中。そんならむさんに、3回にわたりインタビュー。2回目は、青木ヶ原樹海のお話を中心にうかがいます。(全3回の2回目/つづきを読む)
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「出られない」「磁石が効かない」「中に村が…」青木ヶ原樹海の数多の都市伝説
――ホームレスと青木ヶ原樹海の取材は同じ頃に始めたんですか。
村田らむ(以下、らむ) そうですね。
――樹海への興味はどこから?
らむ 正直、樹海は消去法というか。イラストレーターからいきなりライターになったので、コネクションが全然ないわけですよ。だから芸能とかスポーツのジャンルはできない、特技もそんなにない、でも樹海は行けばある!(笑)。樹海については、当時は今以上に都市伝説が信じられていて。
――「入ったら出られない」とか。
らむ そう。「磁石が効かなくなる」はもちろん「中に村がある」だとか「野犬がいる」だとか。90年代末くらいにはそういう噂があったんで、とにかく樹海に行ってみて出られないか試してみようじゃないかと。
まだギリギリGPSが弱かった頃で、一応購入して持っていったんですけど表示されるのは数字。Googleマップで緯度や経度を数字で表してる、あれです。だから白地図は別に持って。でも、そもそも数字すら合ってるか微妙な時代だし「無理だわ、使えない!」ってなって。でも結局コンパスだけで出ることができましたよ。
樹海に行ったら「死ぬ気がなくなっちゃった」女性の話
――らむさんの著書『樹海怪談』にも出てきたけれど、思い悩んでいる女性と一緒に樹海に行った話をよくされてるじゃないですか。
らむ 「死のうかなと思ってるんですけど、樹海を案内してください」って知らない女性から連絡が来て。まあ断るべきなんですけど、話を聞いてみたくなっちゃって。それで、樹海で遺体を探すのが趣味のKさんという人と、僕と彼女の3人で樹海を回って。そしたらKさんが嬉々として遺体を探すのを見て、彼女は「死んだらそうやって探されるの?」「なんか死ぬ気がなくなっちゃった」って。
――その女性からはもう連絡ないんですか?
らむ ありますよ。いろいろ強いネタを持ってる人だったんで、取材に協力してもらったり、今でもLINEでやり取りしてます。彼女は元気でやってますよ。
――なんかいい話ですね。
らむ いい話ですかね?(笑)
