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都心の公園で夢中になってチョウを追いかけた

舘野 渋谷の「シガコン」はオヤジさんが亡くなって宮益坂の店を畳みましたよね。

福岡 今、実店舗は戸越銀座にあるようです。(網部分をパッと広げて竿に装着)ほら、カメラマンの持っているレフ板みたいでしょ、コンパクトに畳める。蝶の羽根を傷めないように網はシルク製。ちょっと高くて竿とセットだと1万円くらいかな。

舘野 福岡さんはチョウ好きですからね。いつか都心の公園で昆虫採集したときも、真剣にアオスジアゲハを追いかけていたじゃないですか。最近、都心の大きな公園だと、昆虫観察はいいけれど採集するのは禁じられていて、注意されないかとヒヤヒヤでしたよね。

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福岡 今日は2人だから心強いけれど、いい大人が1人で網を振り回していると目立ちます。

香川照之さんも「つちはんみょう」つながりか

舘野 さて、今日は山に登る前に、観察フィールドにある古いお社にご案内しようと思っているんです。つい数日前、NHK Eテレの「昆虫すごいぜ!」で香川照之さんがハンミョウの取材にいらしたんですよ。僕もそのロケ現場に立ち会って、ちゃっかり自分の絵本(『つちはんみょう』)を手渡すことができました(笑)。

福岡 おお、ここですか。ずいぶん古い樹木に囲まれていますね。(説明板を読み)樹齢800年以上の椎の木の森があるんですね。すごい巨木だ。

舘野 スダジイですね。この大きなスダジイのウロではベーツヒラタカミキリが発生します。たまに死体が落ちているんだけど……。

スダジイの木 ©三宅史郎/文藝春秋

福岡 べーツというのはダーウィンの弟子の博物学者(ヘンリー・ウォルター・ベーツ)で、世界各地で虫を採りまくり、新種を見つけた人。だから、いろいろな昆虫に彼の名前がついている。あ、ハンミョウの穴だ!

舘野 そう、ここに幼虫が隠れていて、アリなどが通ると飛び出して食いつく。