インターネット掲示板ホラーの最盛期

三津田:その世界でも怪談がメインだったんですか?

:あの頃は「洒落怖」って言われるような、「きさらぎ駅」とかご存じですか?

三津田:映画になりましたね。

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:そうです。あと、「くねくね」とか「八尺様」とか、あの辺がちょうど2007年から2009年ぐらい、インターネット掲示板のホラーが一番元気良かった時代です。

くねくね(©AFLO)
八尺様(©AFLO)

小池:そのへんのネット怪談とかは、どういう経緯で発生したんでしょう?

:諸説あるんですけれども、吉田悠軌先生の説によると、インターネット上で怪談を語るコミュニティは、例えば「あめぞう」とか「あやしいわーるど」とか、2ちゃんより前のパソコン通信の時代からすでにあって、それらを統合したのがひろゆきさんの2ちゃんのオカルト板だったと。

小池:当時、インターネット怪談的なものを作ってた人たちって、じつはそれなりに基礎のある職人的な人が匿名でやってたはずなんですよ。例えば心霊ホラー映像なんかは、テレビ業界の人が匿名でやってた仕事なんです。ズブの素人ではない、なにかしらそういう下地がある人たちが、表ではできないような実験的なことをやっているんだなということは、当時から私も感じていました。いま梨さんがおっしゃったような「くねくね」とか「八尺様」とか、ああいうのも単なる思い付きではなくて、基礎のある人が計算ずくで作ったと私は見てました。

 当時、私が雑誌なんかで連載していた頃も、編集者から、ネットに出ているいろいろな話を集めて本にしましょうなんてよく言われたものですけど、それはやっぱりネットに出てるからいいのであって、本にするのはちょっと違うだろうと思ってやらなかったんです。