2000年に刊行された小池壮彦著『幽霊物件案内』が25年振りに文春文庫から復活刊行された。小池さんと、同書の単行本時の担当編集者であり、今ではホラー&ミステリの屈指の書き手として知られる三津田信三さん、小説だけでなく映像やイベントも積極的に仕掛ける新鋭・梨さんが、現在進行中の空前のホラーブームを語る。(全3回の1回目/続きを読む

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小池壮彦の『幽霊物件案内』『日本の幽霊事件』が復活

司会:今回は小池さんのご本の、復刊と申しますか文庫化の記念で、新旧ホラー作家鼎談のような感じでベテランと若手のみなさんでコラボしていただこうという企画です。

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 最初にそのきっかけとなった『幽霊物件案内』ですが、朝宮運河さんがXで「復刊希望」と呟いていたのを私が拝見して興味を持ち古本を取り寄せましたところ、なんと三津田さんが編集された本だとわかって、三津田さんに解説をお願いしました。

三津田:復刊というか文庫化の話を聞いて、タイムリーだなと感じました。ここ数年のホラーの盛り上がり、すごいでしょ。実話系怪談から小説、さらには梨さんに代表されるメディアミックス。そういう中で、ある意味オーソドックスでクオリティの高い実話怪談の名著『幽霊物件案内』が復活するのは、非常にタイミングが良いと思います。

小池さんの代表作が連続文庫化

司会:小池さんのご連絡先をK A D O K A W Aさんに教えていただいた時に、5月に角川ホラー文庫から『【完全版】日本の幽霊事件 封印された裏歴史』も出ると知りました。何年振りの新刊ですか?

小池:2019年に『東京の幽霊事件』の単行本が出ていますので、6年ぶりですね。その前の『日本の幽霊事件』は2010年刊行ですが、元記事の連載が半年に一度だったので、少し時間がかかりました。この5月に2冊を合本にして文庫化できました。

三津田:最初が『日本の幽霊事件』で、次が『東京の幽霊事件』になったのはどうしてですか。

小池:2冊目も同じ『日本の幽霊事件』という訳にはいかないので『東京の幽霊事件』にして、地方が舞台のものは番外編扱いにしました。もともと場所はあんまり意識してなくて、「日本の」という意味は日本的な背景を持つ幽霊事件っていう意味合いだったんですよ。だから、本当は全部ひっくるめて『日本の幽霊事件』なので、合本で1冊になって改めてよかったなと思っています。