人に話を聞く前にまず文献に当たるわけ
三津田:『日本の幽霊事件』を読み返して改めて発見したのは、小池さんは高校生の時点で、すでに幽霊事件とか心霊現象を調べようとしていることです。最初に調べ始めたのはいつ頃からですか?
小池:興味持って調べ始めたのは、もう小学生の頃からですね。夏休みの自由研究とかでやってました。
三津田:それって教師の評価はどうだったんです?
小池:全然ないですね。
三津田:無視?
小池:はい。たぶんなにをやってるかわかんなかったんでしょうね。
梨:手法的にはフィールドノートとまではいかないかもしれませんが、聞き取りをしてそれをレポートにまとめるという感じですか?
小池:まずは文献的なことを調べるんです。よくフィールドワークと称していろんな人に聞いて回ってる人がいますけど、人の見方ってそれぞれだし、我々が疑問に思うことって、おそらく9割ぐらいは過去の人が調べてるんですよね。
梨:なるほど。
小池:名もない郷土史研究家みたいな人が調べて、非売品の形でどっかの図書館に埋もれてる本の中にすでに回答が書いてあってびっくりするようなことの連続です。それを見ないでいろんな人に話を聞いても、なかなか答えにはたどり着かないんですよ。
三津田:やっぱり小池さん、昔から文献派だったんですね。『日本の幽霊事件』を見ても調べすぎとしか思えません。いわゆる怪談を紹介します、という本じゃない(笑)。
小池:もちろん文献だけじゃなくて、人に聞かないとわからないこともあります。例えば昭和30何年に事件が起こって、幽霊の話が出ました。たまたまもっと前からそこに住んでる人に聞いてみたら、「いやいや、私がここに引っ越してきた頃からその話はありましたよ」ということがたまにあるんですよ。そういう時は、「ああ、聞いて良かったな」ってなりますけど、でもそういうのはかなり珍しいケースです。
