地下に潜ったホラー職人たち

司会:小池さんは1990年代から2000年代にかけて、かなりの数のご本を出してらっしゃいましたけれど、その後の一時期、ホラーや怪談関係の著書があまり出なくなりました。その頃はどうされていたのですか?

1990年代後半から2000年代初めの小池さんの著作

小池:『幽霊物件案内』が2000年に出て、2002年には『呪いの心霊ビデオ 怪奇探偵の調査ファイル』という、いわゆるホラービデオの案内本みたいな本を作りました。あの頃、ものすごい数のホラー映像がレンタルビデオの形で出ていて、クオリティ的にはいろいろあるにしても、面白い実験をやっていたんです。それをちゃんと整理しておかないと、そのままゴミクズみたいな扱いになってしまうに違いない。でも、決してゴミクズじゃないんだよという思いで書いたわけです。

 それを『心霊ドキュメンタリー読本』で改めてもう一回やったのが2016年です。あの頃はまだ用語が定まっていなくて、私は「心霊ドキュメンタリー」という言葉を使いましたが、映像の方で映画監督の白石晃士さんが「フェイクドキュメンタリー」の作り方っていう話をされて、その後定着していきました。

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 あの頃から、裏ホラー的なものを考えるようになっていき、私もある意味で地下に潜ったんですよ。アイドルでいうと地下アイドルですね。その世界はじつは地下1階、地下2階、地下3階みたいになっていて、到底表に出せないようなことをやってる地底人みたいな人たちがいました。その人たちのやってることが本物のホラーだったと思うんです。そういう人たちは名前も出さないし、決して表に出てこないが、じつはそういう人たちが心霊映像みたいなのを作って、地下イベントで発表したりしていたんです。

三津田:とても表では書けないようなことを平然とやっている人たちがいたと?